二十四節気の雨水に見る自生地

雪や氷が解ける季節、自生地のサクラソウも健闘中です

2010年2月19日(金)

雨水の今日は久し振りに晴れの予報だったが、朝は薄雲が広がりまばゆい青空とはいかなかった。

雪の朝
雪景色で明けた立春の後、10日頃からは不順な天候で、陽射しの無い寒い日が続いた。
13日には時雨のような冷たい細い雨が時折雪に変わり、18日朝はまた白銀の世界だったが、お昼ごろまでに は跡形も無く融けて将に春の淡雪そのものだった。

2月18日AM8時少し前、外はいまだ雪が降り続いて水分を多く含んだ雪が物干し竿にも高く積っていました。
道路を見ると雪が降りしきる中、傘もささずに長いマフラーを首に巻いて歩いている姿が新鮮でした。

自生地の風景は遠目にはあまり変わり映えがしないが、トウダイグサ科の ノウルシ、ユリ科のノカンゾウ、同じユリ科の アマナ、キンポウゲ科の ノカラマツ、ユリ科のノビル達は確実に芽を伸ばしている。
鴨川べりのカバノキ科のハンノキも黄色い花粉を飛ばし上の小さな雌花序は鮮やかな深紅色に染まっている。
小さな赤い3つの雌花序 雄花序のUP
上の3個が雌花序、雄花序の黄色く見えるのは花粉 雄花序をUP、茶色は花粉を飛ばした雄しべ?

サクラソウ
もちろんサクラソウもアチコチで小さな芽を出しているが、どうしても劣勢だ。
左のサクラソウの若芽の周りには珍しくアマナだけですが、ノカラマツ、そして難敵のノウルシが必ずと 言っていいほどあります。そして今後はより成長を早めサクラソウを凌駕してしまいます。
春一番で花を咲かせるアマナは赤味がかった葉や緑の葉を細いサーベルのように立てている。
ノウルシがどんどん勢力を広げ、成長が早いのは相変わらずで、Aブロックの早咲き個所ではもう葉を広げ かけている。中央付近も早い。そしてよく見ると小さく鋭く赤い芽は自生地全域で見られる。
ノウルシ ノウルシ
鋭い小刀のようなノウルシの赤い小さな芽 Aブロックではもう葉を広げ始めたノウルシ

カワラヒワ
1時間半くらい居たらやはりかなり冷たくなってそろそろと思った時、見上げたクヌギの枝のてっぺんに小 鳥が見えた。スズメかとも思ったが、取敢えずカメラを向けた。大きくしてみるとカワラヒワだった。群れをなしてキリリキリリ と鳴きながら飛んでいるイメージが強い小鳥だが、こうして1羽だけで高い木の上に居るとまったく印象が違う。
カワラヒワ(河原鶸):スズメ目アトリ科の留鳥。肌色で太めの嘴と翼と尾の黄色い斑、M型の尾が特徴。
名前は河原に多くいる鶸の意。鶸はアトリ科ヒワ亜科の鳥の総称で、マヒワ・カワラヒワ・ベニマシコ・ウソなどを含む。

出口に向かって坂をのぼりかけるとムクドリ達が飛んできた。今、自生地に集団で来る小鳥ではドバトとこ のムクドリが双璧だが、昨日の雪解け水だろうか、そこで水浴びを始めた。雨水を象徴する出来事の様な気がして面白かった。
ムクドリの水浴び
ムクドリ(椋鳥)はスズメ目ムクドリ科の留鳥。嘴と脚はオレンジ色、脚は短めで丈夫で地上を歩き回るに 適する。名の由来はむくんだ鳥とか群れる鳥が変化したとも、また椋の実が好物だからとも云われる。

雨水(うすい):2月18日頃、今年は19日。雪が雨に変わり、降り積もった雪や氷が解ける頃。「ものの芽」とは 春に芽吹く草木の芽の事と云う。「土塊を一つ動かし物芽出づ」高浜虚子。
自生地では名の知れた草木の芽ばかりでなく、寒さの中を耐えて赤く変色したスイバや種々のロゼットなどがやっと暖かさに向か う安堵の声も聞こえるようだ。