二十四節気の清明に見る自生地

10裂片のサクラソウは雌しべ2本、萼は8裂でした

2010年4月5日(月)

清明の4月5日は京都に出かけて自生地には行けなかった。
前日の4日の日曜日は午後からは気温が下がり冬に逆戻りのようだった。そして自生地前の駐車 場は早くから大型トラックが集結し通行を遮断して我が物顔に自分たちだけの花見を楽しんでいた。公園管理者には脅 迫的に迫り、警察には低姿勢で対応。強制排除は不可能を見越して終日公共の場を不法占拠していた。
桜も満開の自生地
天候はあまりハッキリしなかったがサクラソウが群落を作り桜も満開だった 10年4月4日
自生地は4月に入ってようやくサクラソウの群落が増え、11日の日曜日までがいわゆる一番の見 ごろの期間で、昨年同様桜の満開の時期とも重なり、さくら草公園を訪れる人は両方のお花見を楽しめた。
11日夕方の突風で桜が花吹雪となって散り散り始め、サクラソウは12日の雨の後はスイバやオギ が伸び出してスダレ越しが多くなり、ノウルシノカラマツも丈を伸ばしつつある。昨年同様さく ら草まつりにはサクラソウはかなり隠されてしまいそうだ。

10裂片サクラソウ
3日には珍しい八重のような10裂片のサクラソウが見られた。去年は7裂はあったが10裂は初めて で拡大すると柱頭も2つ見えたのにはビックリ。毎日見ていたが14日の朝には無くなっていた。下を見ると地面にそれ らしきが落ちていた。まさに合弁花で長い花筒の先に花があった。上を見ると雌しべが2本裸出していた。萼も10裂か と思ったがこれはどう数えても8裂だった。
同じ株なのに1つは10裂片で他の2つは一般的な5裂の花なのも不思議です。
左下の写真で は花が落ちた後には雌しべが2本ハッキリ見えます。下に見える普通の5裂の萼からは1本の雌しべが伸びています
10裂雌しべ 10裂花冠 10裂子房
左上は雌しべ2本、下は1本見える 花裂片は確かに10個でした 子房も2つ。果実になるでしょうか
9裂サクラソウ
同じ日のお昼頃今度は9裂片の花が見つかった。パソコンで拡大してみると白い目の裂片のつけ 根部分は9つで柱頭は1つのようだった。
9裂はいわゆるピンク色で裂片は細い。これも同じ株の4花のうちの1花のみが特別だった。
10裂は11〜12日咲き続けたようだが普通サクラソウの花は7〜14日くらいの命と云う。この花も落ちるまで是非見届け たい。
このような変異は遺伝子情報に変化をもたらす突然変異ではなく、遺伝子や染色体には関係が無 い単なる環境の変化によって生じる量的変化で個体変異、環境変異または彷徨変異と云うようだ。

6裂サクラソウ サクラソウ群生
6裂サクラソウの花 サクラソウの群生
ノウルシ ジロボウエンゴサク
ノウルシの花達 ジロボウエンゴサク ケシ科
サクラソウは普通5裂片の合弁花だが、4裂も6裂も比較的多く見られ裂片にも変異が多い。白花 を楽しみにしているマニアも多いが白は例年遅い。
4月前半のサクラソウ自生地を彩るのは ノウルシが圧倒的だ。そのせいでここではスッカリ敵役だがノウルシは絶滅危惧U類(VU)の希少種で加須にはノ ウルシ園もあるほどだ。
実験圃場のサクラソウはノウルシが無く広い空間で生き生きと花をつけているが、道路からしか 観察できないのであまりお勧めはできない。

清明(せいめい):4月5日頃、文字通り清らかで明るい季節の到来を表します。
二十四節気の暦 の上では立春の2月が早春で4月は晩春、朝夕の寒暖の差が大きく春霞のかかり易い時期。
また芽吹いた植物が何 なのかが明らかになる季節とも云う