二十四節気の小寒に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

ハンノキのサラミに似た雄花序が赤みを増しています

2011年1月6日(木)

今年は1月6日が小寒。青空は広がっていたが雲が多く富士山も半分雲に隠れていた。北風が強く前日までの暖 かさは半減し、体感温度はかなり低くなった。北海道、日本海側は寒波の影響で降雪が続き交通機関に影響が出ているようだ。
本格的な寒さが始まる寒の入りでもあり節分までの約30日間が「寒の内」でもっとも寒く感じられる時期とも 言われる。
定点より自生地を望む
右上には半分雲に覆われた富士山が見えます
いつもの観測ポイントから見た今年初めてのサクラソウ自生地は枯葦が陽に輝いていた。
観察路の入り口では今迄ヨシに隠れて見えなかった特別天然記念物指定の碑が林立した茎の間から垣間見られ るようになった。

ハンノキの雄花序
ハンノキ花序 ハンノキ果穂
雄花序とその上の小さな雌花序 小さな松ぼっくりのような果穂
カバノキ科のハンノキの雄花序が赤みを帯びて少し太くなり雌花序も赤味が増したようだった。でもサラミの ような雄花序も小さな雌花序もまだ咲いてはいない。雄花には花被があると言っても去年は花らしきは確認できなかった。ただ 枝を揺すると黄色い花粉が飛ぶので開花が分かる。何時飛ばし始めるのか今年こそ花を見てみたい。
ハンノキ果穂断面 ハンノキの鱗片と堅果
ハンノキの果穂の断面 扇形が鱗片、楕円形が堅果
まだたくさん付いている長さ2cmくらいの黒褐色の松ぼっくり状の果穂も奇妙だ。もう充分に成熟しているの だろうが一向に枝から離れる様子もなく花序と一緒についている。扇形の鱗片の間に平たい楕円状の堅果が付いて種子は風で飛ばさ れたり、水に運ばれたりするという。

クヌギの堅果(どんぐり)は2年目の夏から急に生長し始め晩秋に褐色に成熟するというが、殻斗には縮れた 線形の鱗片が汚らしいほどびっしりとついている。下からは直径約2pの球形の堅果は見えず、もじゃもじゃした毛の固まりのよう な鱗片だけが目立つ。
E区には7本のクヌギがあって3本がたくさんの堅果をつけているが、他はほとんどない。年によっての違いな どもあるのだろうが調べてみると面白いと思った。(E区に向かって一番右の木と1本措いた木(一番多い)そして2本措いた6本目の 木が多くつけていた。)
クヌギの木々 毛の塊のような堅果
E区のクヌギの木々。実のつけ方が極端です もじゃもじゃした毛の塊のみが見えます

現在サクラソウ自生地はさいたま市教育委員会の文化財保護課の管轄で、さくら草公園は直接的には(財)さ いたま市公園緑地協会が管理し市の担当課は都市公園課だ。
なるべく自然のままに湿地状態を保ちたい自生地側と、安全で清潔な環境づくりの為に乾燥化も必要だし公園 樹の植樹もしたい公園側とは基本的に異なる。その上お役所特有の縦割りの弊害が輪をかける。
ヤマグワの冬芽 クヌギの冬芽 ゴマギの冬芽
ヤマグワの冬芽 クヌギの冬芽 ゴマギの冬芽
毎年4月に行われる「さくら草まつり」の主催は(財)さいたま観光コンベンションビューローで市の担当課 は観光政策課。いつもサクラソウの最盛期を過ぎての開催だ。
何とかならないかと思うが、お役所の縦割り組織を仲介してサクラソウ維新を招来するのは竜馬でも 難しそうだ。

小寒(しょうかん):1月5日頃で今年は6日。寒の入りとも言い、節分までの約30日間が寒の内でもっとも寒い時期 という。今年は北海道、日本海側に大雪が降り関東は冬晴れが続いている。