二十四節気の穀雨に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

生気を取り戻した自生地の目玉は白花サクラソウ

2011年4月20日(水)

自生地風景
穀雨の今日は朝方の雨が将に恵みの雨で自生地は久し振りに潤いが感じられた。
チョウジソウはかなり大きくなってはいたが、蕾もまだ付けていないようで、花が見られるのはやはりGWのよ うだ。これからの自生地の主役で薄紫の上品な花はあこがれの花だが、オギなどに遮られて見難いのがチョット難点。でも今年は観 察路近くにも株が多いので楽しめそうだ。
表面がひび割れし、埃っぽかった観察路がしっとりして快適。正面に見えるクヌギの木の黄土色がかった花 穂や葉もこころなしホッとしているようです。
後姿の紺色のジャンバーがボランティアのユニフォーム。田島ヶ原サクラソウ 自生地を守る会の白抜の字が入っています。

4月8日 4月13日 4月16日
初めて蕾を確認 4月8日 蕾が白いのが明瞭 4月13日 花開いた白花 4月16日
サクラソウ白花
白花のサクラソウは4月8日にサクラソウ情報の青木さんが「白が蕾を付けている」と満面の笑みで教えてくれ た。 去年の位置より少し近い気もして半信半疑だったが拡大すると確かに蕾のようだった。でもそれからが長かった。ようやく花開いた のは15日の午後だったと言う。去年見られたB区の株は残念ながら今年は見られそうもない。
折角の白花ですが、残念ながらこの日の花は昨夜の雨に打たれ下向きや向こうむきになっています。そしてよ く見ると昨夜の名残りの雨滴が裂片で陽に輝いています。
今年のサクラソウは初咲きが3月24日で昨年より10日程遅かった。昨年の猛暑や開花時期に続いた気温の低さ の影響だろうか、一般的に高さも低く花も小さくそして色が濃かった。でもノウルシの成長も遅く例年なら隠されてしまうサクラソウがこの時期 までかなり見られた。
円形に着くサクラソウ ツボスミレと アマドコロと
特徴的なサクラソウの花序 小さなツボスミレと この時期に多いアマドコロと

クヌギ
ハンノキが若草色の柔らかい葉をつけ、クヌギが黄土色の尾状に垂れた花と葉をいっぱいに付けているが、今 残っている褐色の縮れた鱗片の塊はどうやら虫こぶらしい。
虫こぶハンドブックを見るとクヌギ何々という虫こぶが9つも載っている。やはり葉に着くのが多いが、今枝 についているのはクヌギエダイガフシのようだ。形成者はクヌギエダイガタマバチという。栗に着くのと同じようだがこれにやられ ると栗の実は全滅と言う。
虫こぶ:植物の内部に昆虫が卵を産み付けることによって、植物組織が異常な発達を起こ してできるこぶ状の突起のこと。虫(ちゅう)えいともいう。(Wikipedia)
トダスゲ ノウルシ
円内はトダスゲの花穂のUP。受粉し果胞が膨らむ 苞葉の黄色が褪せ腺体も褐色に変色したノウルシ
アゼスゲに続いてトダスゲも穂をつけ始めた。トダスゲは絶滅危惧1B類(EN)で一時絶滅を伝えられた自生地で も貴重な植物だが、今年は観察路沿いにアチコチに見られる。
ノウルシは最盛期を過ぎて腺体が褐色を帯びた個体やイボイボのついた刮ハを立てているのが目に付くように なった。
オギが伸び始めスイバも赤茶の穂を立て始めている。ノカラマツも伸び始め一部ではノウルシを凌駕し始めた 。自生地を回るとヨシが固まっている所もあるが、オギの群生が圧倒的に多い。やはり乾燥化が進行しているのだろう。

穀雨(こくう):4月20日頃、春の最後の節気。百穀を潤す慈雨の季節と言うが、昨夜から今朝にかけて11日以来 の雨らしい雨が降ったでけで、昨日まで自生地はずっと乾燥が続いていた。正確にはこれからの半月が穀雨なので慈雨が待たれる。