二十四節気の夏至に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

純粋なノジトラノオも自生しているようです

2011年6月22日(水)

夏至の今日は朝から青空が広がり最高気温は34℃まで上がりまったくの真夏日だった。ちょうどその最高気温 の時に自生地にいて陽射しを遮るものが殆ど無く、汗が体を流れ落ちるのが分かった。
この真夏日の中で自生地を守る人達は観察路の草を手で抜く作業を続けていた。
トラノオ雑種の花穂 ノジトラノオ花穂
雑種のトラノオの花びら(裂片)は円い楕円形 ノジトラノオの花びら(裂片)は細長い楕円形
※上の2枚の写真は拡大表示できます。
雑種のノジトラノオが将に最盛期でA区には外見的にヌマトラノオとノジトラノオによく似た個体が群生してい る。
そしてB区やE区にはノジトラノオの特質をもった個体が花穂を付けていた。
花裂片が細長く、茎に毛があって花穂の先に線形の苞葉があるのをノジトラノオと定義する と当てはまる個体がかなりあり嬉しかった。
ノジトラノオ ノジトラオノ ノジトラノオ
茎の毛が多くノジトラノオの形質十分 前後の個体ともノジトラノオの形質を持つ 少し茎の毛が疎ら
※上記3枚の写真は拡大表示できます。

3輪生するナガイモの葉
蔓植物が急激に成長し始めヤマノイモ科も多く見られた。よく見ると長い柄の葉が1個所に3枚づつ付いている。 午前中の植物調査でKさんが「珍しい」と言っていたのが頭にあって観察力が働いた。
夜あれこれひっくり返してみたがナカナカ分からない。ようやく新牧野日本植物図鑑のナガイモの項に 「葉は長柄を持ち、紫色を帯び対生または3輪生して無毛」とあった。この科の植物はほとんどが互生だがヤマノ イモとナガイモだけが対生という。実際近くには対生しているのもあった。
左の写真は全て1ヶ所から3枚の葉が輪生しています。
下の写真は対生の葉と互生の葉が見られますが、 元々ヤマノイモ科の植物は互生が多いのでこのような事が見られるようです
対生と互生のナガイモの葉

ナガイモ(長芋)Dioscorea baatas:中国原産の栽培植物でしばしば野生化している。特徴は茎や葉柄が紫褐色を 帯び、葉のヘリも時に紫に縁取られ、基部はほこ形で耳状に著しく張り出し、葉質はやや厚く、横幅が広い刮ハは18〜20oと小さい。

ヤマノイモ(山の芋)Dioscorea japonica:別名ジネンジョ(自然薯)。山野に自然に生える日本産種。茎は淡 緑色で葉は基部がハート形に深くへこむ。刮ハは幅25〜30oとナガイモより大きい。

両種とも雌雄異株でムカゴ(珠芽)ができる。花の季節はこれからで、サクラソウ自生地にヤマノイモがある のかどうかこれから一つの観察ポイントだ。

クララは花がほとんど終りかけて一部では豆果が出ていた。その様子を撮っているとクマバチがやって来て忙 しく花の間を飛び回っていた。花らしくは無い花だがやはり蜜があるのだろう。でもよく見ると穴を開けて盗蜜しているようだ。
クマバチ(熊蜂、学名:Xylocopa):ミツバチ科クマバチ属の昆虫の総称で、概して大型のハナバチ。北海道から 九州にかけて広く分布するキムネクマバチ (Xylocopa appendiculata circumvolans (Smith, 1873) )を指すことが多い。
自生地のアチコチで咲いているクサフジにキチョウが止まっていた。一生懸命吸蜜しているのでアップで撮っ てみた。この日は太陽光が非常に強かったので、クサフジの花に透明感が出たようだ。
クララを盗蜜するクマバチ クサフジにキチョウ
クララの花の根元に穴を開けているクマバチ クサフジの吸蜜をするキチョウ

ハンノキ
ノカンゾウ ウマノスズクサ
この日2輪見られたノカンゾウ まだ少ないウマノスズクサの花
何かが巣でも作っているような、面白い葉のつき方をしているC区のハンノキ。右の方の枝だけなのは草焼き の被害のようです
ヤブジラミの小さな白い花の集団が園内で多く見られた。
観察路の縁側に増えてこれからの季節に大きな花を毎日咲き継ぐオトギリソウ科のトモエソウは柵の内側に移 植したらしく今年はあまり期待できそうにない。
フト空を見上げるとハンノキが大きなボールのような固まった葉をアチコチに付けている。何かの病気でなけ ればいいが。

夏至(げし):6月21日頃、今年は22日。一年で最も昼が長くなる時で梅雨の真っ最中だが今年は梅雨の合間の完 全な真夏日。午前中から荒川河川敷にいたので夕方長袖を着ていた腕から先の手首が赤黒く日焼けして腕との境が鮮烈だったのには びっくりだった。