二十四節気の小暑に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

赤色の深いノカンゾウはベニカンゾウと呼ばれます

2011年7月7日(木)

オギやヨシが覆う自生地
小暑は7日だが北陸旅行の予定なので今日6日に自生地に行ってきた。
昨夕かなり激しい夕立ちがあったのと今朝も比較的早くから青空が広がっていたので露も心配で長靴持参、露払い棒を堤防で調達して自生地に入った。
観察路は少しぬかるんでいる所はあったが水溜りは無かった。ところどころ観察路を塞ぐように覆いかぶさっているオギやヨシは多くの水滴を付けて棒ではたき落としながら進んだ。
駐車場側からの観察路。かなりオギやヨシが覆いかぶさっていて先は見えません。

入ってすぐノカンゾウが咲いていたが赤味が強いのにはビックリした。
調べてみると橙赤色から赤褐色まで変化が多いのが特徴で、特に赤色が深いものをベニカンゾウと呼ぶという。ほとんどがベニカンゾウだったが一ヶ所だけ赤味の薄いノカンゾウが見られた。
ベニカンゾウ ノカンゾウ
赤味の深いベニカンゾウ ノカンゾウ
ノカンゾウやヤブカンゾウは1日花なので忘れ草と言われ、古くに中国から渡来して万葉集にも詠まれている。
わすれ草わが紐に付く香具山の故りにし里を忘れむがため 巻3-334 大伴旅人
忘れ草わが下紐に着けたれど醜の醜草言にしありけり 巻4-727 大伴家持
わが屋戸の軒のしだ草生ひたれど恋忘草見るに生ひなく 巻11-2475 柿本人麻呂歌集
忘れ草垣もしみみに植ゑたれど醜の醜草なほ恋ひにけり 巻12-3062 作者未詳
      注:醜(しこ)の醜草(しこぐさ)は舌打ちするようないまいましい草の意

露を含んだシオデの雄花が朝日を受けて輝いていた。線形の葯が朝日に白く反射して鮮やかだった。
雌花を探してみたがこちらはまだようやく開きかけたところで花被片は反り返っているのはほとんど無かった。托葉が変化したという巻きひげを多く付けた先端は自生地のアチコチで健在だった。
シオデの雄花 シオデの雌花
雄花の線形の葯は約1.5mm ほとんどの花被片はまだ子房を包んでいます

フト気が付くとガガイモ科のコカモメヅルが咲いていた。カモメヅルの仲間でも一番花が小さく朝のうちだけしか咲かないので見られるのはラッキーだ。
コカモメヅル
トモエソウ オトギリソウ
花径約5pのトモエソウ 花径約1.5cmのオトギリソウ
観察路の縁側にかなり増えたオトギリソウ科のトモエソウの株は柵の中に移植した為に今年は花が少なくて淋しい。大きな色鮮やかな花をたくさん付けるはずが一輪だけ咲いていた。
少し奥にあるオトギリソウは6時半頃にはまだ蕾だったが帰り際には2輪とも咲いてホソヒラタアブが来ていた。

ヤマノイモ
鴨川べりの日当りのいい所ではヤマノイモが雄花をたくさん付け始めていた。葉が若いからかもしれないが薄手の淡緑色で基部がハート形に深くへこんでいた。付け根あたりに赤い縁取りが見えるものもあるがもう少し詳細に観察してみよう。
ヤマノイモの雄花序は葉腋から直立し多数の花を付ける。雌雄別種

ヤマノイモ(山の芋)Dioscorea japonica:別名ジネンジョ(自然薯)。山野に自然に生える日本産種。葉は対生し茎は淡緑色で葉は基部がハート形に深くへこむ。食用部は坦根体と言われ根でも地下茎でもない。ヒゲ根の一つが芋になり、春に古い芋の先に新しい芋が付き古い芋の養分を吸収して大きくなりそれを繰り返して成長するという。

今年の関東甲信の梅雨入りは5月27日で、平年より12日早く昨年よりは17日も早い梅雨入りだった。
そして7月9日には梅雨明けしたとみられるとの発表があった。関東甲信では平年より12日早く、昨年より8日早い梅雨明けで7月上旬の梅雨明けは10年ぶりという。
試みに梅雨の期間を計算してみると平年は6月7日〜7月21日の44日間。昨年は6月12日〜7月17日の35日間で、今年は44日間で日数的には平年並みだった。

小暑(しょうしょ):7月7日頃、本格的な暑さが始まると言われるが、今年は梅雨明けが9日と早く将に猛暑の始まりだった。ただ7日は北陸旅行で朝から曇天だったが、雨晴海岸では本格的な雨になってしまった。途中立ち寄った富山は典型的な地方都市で繁華街でも人通りは少なく閑散としていた。