二十四節気の寒露に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

すべての観察路がユウガギクの白い花で彩られていました

2011年10月9日(日)

タテ看
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自宅に居ながら9日の寒露をすっかり忘れていた。08年から田島ケ原サクラソウ自生地の24節気を観察し始めて初めての事だ。2日遅れの11日に気付いてすっ飛んで行った。
さくら草橋を渡って信号待ちしているといやでも目に付くのは横断歩道の向こうに立てられている「この先歩道終わり」のタテ看だ。
確かに秋ヶ瀬橋の方には続いていない。でも桜草公園(サクラソウ自生地)への下り専用道路だ。「この先歩道はサクラソウ自生地への専用道路です」とかに書き替えないと行き止まりと誤解される。看板の下にはさいたま市役所と浦和西警察署が併記されているが一度尋ねてみたいと思いながらナカナカ実行できないでいる。

定点から俯瞰した自生地はオギの穂が一面に揺れていた。撮影の為に上がった土手にはススキが多くの株を作っていて、良く見ると雄花と雌花が咲いていた。このところ自生地のオギばかりに関心がいっていてススキにはすっかりご無沙汰だった。
自生地定点
ススキ ススキ
立っているのはススキの雌花 黄色いのはススキの雄花
オギもヨシもイネ科ススキ属の多年草。
オギは湿地に群生し、小穂には芒がなく基部の毛は小穂の3〜4倍で密生し銀白色で花序は大きい。
ススキは乾燥にも強く大きな株を作る。小穂には途中で折れ曲がった芒があり基部の毛は小穂より少し長めで密生する。葉の縁には鋭い微鋸歯がありうっかり触ると手が切れる。
芒(のぎ):イネ科植物の小穂の先に1本長く伸びる剛毛。動物などに突き刺さって果実を遠くまで運ぶのに役立つ。

ユウガギク
観察路の両側はユウガギクが所せましと白い花を付けていた。そして相変わらずチカラシバが多くもう実を付けているものもある。
今日が今年の作業納めという臨時作業員の人達が一生懸命何かを抜いているので尋ねるとチカラシバだという。見せてくれた根はたくさんの根を叢生していた。そして一本一本が太くてしっかりしてなかなか抜けないのは当然だと思わされた。
ユウガギク(柚香菊):山野に生えるキク科の多年草で秋の野菊の一つ。葉は薄く両側に3〜4対の切れ込みがあり、花茎は細く長くて横に広がる。冠毛はごく短い。柚の香りがするのが名の由来というが群生していてもほとんど感じない。
ユウガギク ユウガギクの花
せめぎ合っているように咲くユウガギクの花 ユウガギクは花径約2.5cm

ママコノシリヌグイは終りかけ、代わって同じタデ科のアキノウナギツカミやイヌタデが勢力を広げている。
アキノウナギツカミ
アキノウナギツカミ花 アキノウナギツカミ托葉鞘
アキノウナギツカミは茎に生える刺で鰻がつかめるというのが名の由来というが刺はママコノシリヌグイほど鋭くはない。特徴は葉の基部がほこ形に張り出し茎を挟んでいる。托葉鞘は長さ約1pの筒形で先は斜めに切った形。
イヌタデ
イヌタデの花 イヌタデの托葉鞘
花被は5裂する 托葉鞘の縁の長い毛も見える
イヌタデは別名アカマンマで可愛い花穂を付けるが名の由来は役に立たないタデの意味だ。河川敷では紅葉しているのも多いがもともと茎は赤味をを帯びている。托葉鞘は長さ7〜8mmの筒形で縁に長い毛がある。

シソ科のレモンエゴマがアチコチで姿を現しチラホラ花を付けている。これからが全盛期だ。よくアオジソと間違えるようだが葉質が厚い。レモンの香りがするというので葉を揉んでみるとかすかに香る。キク科の コメナモミも見られるようになった。
クマバチがヤブマメを専門に飛び回っていたが、花の基部に穴を開けての盗蜜のようだった。
カナムグラの雄株が高圧線の鉄塔のような形で伸び出して葯をぶら下げているのも目立ち、一部では雌株も見られた。
レモンエゴマ クマバチ カナムグラ
レモンエゴマ ヤブマメの盗蜜者クマバチ カナムグラの雄株

寒露(かんろ):10月8日頃だが今年は9日。秋も深まり朝露が冷たく感じられる頃。今年は絶好の秋日和だったがこの「田島ケ原サクラソウ自生地の24節気」を独立のサイトにする作業をしていて自生地の観察をすっかり忘れてしまった。