二十四節気の小満に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

薄曇りだったので裸眼でも金環日蝕が見られました

2012年5月21日(月)

自生地を俯瞰
小満の5月21日は日本列島の多くの所で金環日蝕が見られるので大フィーバーだった。
観測道具は何もないがどうせなら自生地で見ようと6時半ごろ家を出た。さくら草橋から堤防上を見るとカメ ラをセットして待ち構えている人達が並び、自生地の駐車場でも三脚を立てたカメラマンたちがいた。
左の写真は7時10分に撮影したものですが、何となくいつもの朝の明るさではないような気がしました。
日蝕が始まった時には薄雲がかかってラッキーにも瞬間的には裸眼でもリングが見られたが、何の装備も無い カメラでは何枚か撮った写真は真っ白だった。
オオヨシキリ ホオジロ
いつもはヨシ原で囀るウグイス科のオオヨシキリ スズメとほぼ同大、細いきれいな声で囀るホオジロ
あまり暗くなった気はしなかったが、オオヨシキリがトウネズミモチのてっぺんで大声で囀り、葉が疎らなク ヌギの木の上ではホオジロが繰り返し細い声で囀っていた。

頭だけが見える記念碑
小満は草木が勢いよく成長する頃と言われるが、自生地ではヨシが2m以上になり、オギも大きく育って特別天 然記念物の碑は「田」がようやく見えるだけになり、観察路の両側はオギやヨシが壁のようになってきた。
低く枯れたようになっている所をよく見ると一世を風靡したノウルシの枯れ姿で、代りに緑の葉を付けて伸び ているのはノカラマツだ。
観察路脇には準絶滅危惧(NT)のシソ科の ミゾコウジュが疎らに花をつけ、バラ科のキンミズヒキが青々とした 葉を茂らせ、キンポウゲ科のセンニンソウも蔓を伸ばしている。ヒルガオやアカネも伸びてナワシロイチゴが一部で蕾を付けていた。
鴨川に近い方ではカモジグサやイチゴツナギなどのイネ科の植物が穂を揺らせている。両者とも名前はいいが この時期には花粉を飛ばして花粉症の原因にもなっている。

ハナムグラ
アカネ科の ハナムグラが花径2oくらいの小さな花をつけ始めた。絶滅危惧U類(VU)だが、自生地を始めさいた ま市の荒川河川敷では比較的多く見られる。
名前はヤエムグラ属の中で特に花付きが良く、白い花が美しいので牧野博士が名付けたという。 これから観察路のアチコチで真っ白な花のかたまりが見られ自生地の主役になる。
ヤエムグラとは花がつく頃には違いがはっきりするが、それ以前はよく似ている。ハナムグラは葉が比較的幅 が広くほとんど6枚が輪生している(2枚が生葉で4枚は托葉)ように見え、ヤエムグラは細くて8枚が多い。果実は両者とも双頭状だが ハナムグラは小さくて刺がなく、ヤエムグラは比較的大きくかぎ状の刺があり、草むらなどに入るとよく付いてくる。

ノイバラ
ハナムグり達
托葉は櫛の歯状で刺は鋭い ハナムグリが2番並んでいました
ノイバラは河川敷では今が盛りで白い花を多くつけているが、自生地では期待したほどでもなかった。
バラ科バラ属の落葉低木。花は香りが良く美しいので園芸種などの交配によく使われるようだが、面白いのは 果実だ。雌しべが壺形の萼筒の内部の花床にたくさん付いて柱状になって伸び多くの果実(痩果)となる。果実のように見えるのは萼 筒が肥大して液果状になった偽果でバラ状果と呼ばれる。
偽果(ぎか)=子房以外が肥大して果実のように見えるもの
セリ科のハナウドは早いのは実を付けていた。実は2枚の扁平な分果が合わさってたくさん付くが、主軸だけ が実を付け、側枝の花序は雄花だけで結実しないという。
アマドコロ液果 ミゾコウジュ ハナウド分果
アマドコロの液果熟すと黒紫色 準絶滅危惧(NT)のミゾコウジュ ハナウドの分果

ガマズミ
あまり木の実が見られなくなった去年の12月22日に第2駐車場との境に鮮やかな赤い実を見つけた。ガマズミ ではと思ったがもう一つ確信が持てずにいたのを思い出した。
日本固有の落葉低木。前川文夫によると神ッ実でオオカメノキと共に桃の渡来及びその説話と関係があろうと いう。
イチゴツナギをかき分けて行くと白い小さな花が散房状に集まって大きな花序を付けていた。花冠は5深裂し て平開し雄しべが長く飛びだしていた。スイカズラ科のガマズミと確信した。花序は常に一対の葉がある短枝の上につくという。

小満(しょうまん):今年の5月21日の日本列島は金環日蝕で持ちきりでした。雲がかかっていたのが幸いして裸 眼でリングが見られました。第二十二候 蚕起きて桑を食む。第二十三候 紅花栄う。第二十四候 麦秋(むぎのとき)至る。