二十四節気の小暑に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

初めて竹にとまって囀るウグイスに出会いました

2012年7月7日(土)

中央観察路
2夜続きの豪雨で観察路は一部に水溜りができていた。
作業員の方達が観察路の中央は手作業で除草をし、大きくかぶさっていたオギは取り除いてくれていたのは有難 かった。雲が低く垂れこめて今にも降り出しそうだったが午前中はかろうじて雨にはならなかった。
自生地全域で白い花穂を付けていたイヌヌマトラノオは下火になり、ノカラマツは葯が目立つ黄色い花穂から小 さな緑色の痩果をたくさんつけた果穂に変わりつつある。クララは完全に長い豆果だけになっていた。

ユリ科のノカンゾウは自生地全域で花を付けている。B区の公園寄りの一角に半八重のヤブカンゾウが混生してい た。花はヤブカンゾウが多少大きく、花筒は短い。そして長い葉の幅は確実に広い。
サクラソウの刮ハは一部腐ってしまったのが見られ、褐色がかって来たのが多くキチンと種子ができているのか 心配だ。
ヤブカンゾウ トモエソウ
雄しべが花弁化した半八重のヤブカンゾウ 雄しべは5束に分かれ、柱頭は5裂するトモエソウ
オトギリソウ科の トモエソウは緑色の大きな刮ハが多く見られるようになっても、花は相変わらず咲き継いでいる。雄しべが集まって太い束になっ ているのは雄しべが5群に分かれている証拠で、雌しべの柱頭が5裂しているのも見られた。

いつも鴨川べりの竹やぶの中で囀っていて、声はすれども姿の見えないウグイスが竹にとまって囀っていた。雨 が多く藪の中はさすが囀り難かったのかもしれない。初めてで幸運に感謝し少し遠かったがここぞと何枚もシャッターを押した。
囀っているウグイス ウグイス
英名はBush Warblerで文字通り藪で囀る鳥 汚白色の眉斑と不明瞭な過眼線、長い尾が特徴

ヨシの葉の上にいた黒いチョウは同じ角度ばかりでほとんど動かないので、しびれを切らせて近づいたら逃げられ てしまった。
不明の蝶
チビドロバチ 不明の虫
ママコノシリヌグイにチビドロバチ サソリの孫見たいだが名は不明
ママコノシリヌグイの咲いた花を探していたら小さなハチが飛んで来てアチコチ花を飛び回った。形からしてチ ビドロバチかと思うが自身の重みで茎が大きく曲がり、その都度しがみついているのは面白かった。
カバキコマチグモの産室というオギの葉を綴ったのが目に付くようになった。試みに一つを開けてみたら中はす でに空だった。
ノカラマツの小さな葯にサソリの孫みたいな小さな虫がたくさん集まっていたが、残念ながら名は分からない。
ユリ科のシオデは雌雄異株。面白い球形の花をつけ始めた。蕾かと思ったらもう実を付けた雌株もあった。液果 は熟して黒色になる。
同じユリ科のバアソブも蕾をつけ始め、大きなのはもうすぐ花を咲かせそうだ。
シオデ雌花 バアソブ蕾 シオデ雄花
柱頭が3裂したシオデの雌花 葉腋から伸び出したバアソブの蕾 6本の雄しべが長いシオデの雄花

ウマノスズクサ
ウマノスズクサも独特の花をつけ始めた。2〜3年来ジャコウアゲハの食草として大切にされているが、未だサク ラソウ自生地ではジャコウアゲハにはお目にかかった事はない。それよりなにより花だけはたくさん付けるのに実は一つとして付けた 事が無い。
花弁は無く3個の萼片が筒状になった花は虫が入り易いように内側に向いた毛を生やしているという。でも実がな らない。刮ハの形を馬の鈴に譬えたのが名の由来というだけに今年こそ是非見たいものだ。
オトギリソウ
ドクダミ科のハンゲショウは花が目立たないので葉を白くして虫を呼んでいるという。半夏の頃に咲くから半夏 生とも、半分白くなるから半化粧とも言われる。
オトギリソウは名の由来がドラマチックなので花以上に関心を集める。鷹匠の兄が秘伝の血止めの製法を漏らした弟を切ったという平 安時代の伝説からで、葉や花の黒点は飛び散った血という。
オトギリソウは葉や茎そして花などに黒点がある。腺体の赤い色素が原因という。花は一日花で茎頂に付き花径 約1.5p、花弁5枚で雄しべ多数は3束に分かれる。雌しべは3裂する。

小暑(しょうしょ):この日から夏の暑さが始まるというが、今年は午前中は曇天でむし暑く自生地で汗みずくにな ってしまった。雨になった午後からは気温が下がってしのぎやすかった。
第三十一候 温風(あつかぜ)至る(本格的な猛暑の始まり)。第三十二候 蓮始めて開く。第三十三候 鷹乃(すなわち)学(わざ)を 習う。鳥たちの巣立ちの季節。