二十四節気の穀雨に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

自生地はオギやノカラマツそしてスイバが伸びています

2013年4月20日(土)

賑わう観察路
このところ自生地を訪れる人が多く、この2〜3日は特にグループが多い。大半はさくら草まつりの前後が見ごろと思っているよう で、遠方の方ほどその傾向が強いようだ。
訪れた人は一様に「サクラソウは早いんですか」と尋ねる。「こんな一面の緑じゃあガッカリ」との本音もチラホラ。
平年でもスダレ越しになってサクラソウ観賞には遅い時期なのに、今年はオギやノウルシ、ノカラマツそしてスイバの成長が格段 に早くて、サクラソウが隠されてしまっている。
自生地全体が特別天然記念物で、生える植物はすべて保護されている事を説明してご理解いただくより他なかった。
石碑近くからの自生地 2012年の自生地
石碑近くからB区を望む 2013年4月20日 石碑近くからB区を望む 2012年4月20日
自生地B区 2012年の自生地B区
サクラソウ水門を望む 2013年4月20日 サクラソウ水門を望む 2012年4月20日
上の4枚は左が今年2013年4月20日、右が昨年2012年の同日の同じ場所の写真です。上の石碑の周りは今年はオギが伸びだして 他は見えませんが、昨年はサクラソウやノウルシの黄色も見えます。下の写真はもっと違いが鮮明です。今年は記録的に早く、昨年は記録的に 遅かったのが分かります。

トダスゲ
チョウジソウ
2012年の環境省の見直しで絶滅危惧TA類にランクアップされたカヤツリグサ科のトダスゲが多くの穂を立てている。昨年はやっ と穂を出しかけただけだったのにやはり早い。これからどんどん果苞が膨らんで、別名のアワスゲ(粟菅)らしくなってくる。
いつもはG.W.頃に咲く、キョウチクトウ科のチョウジソウ(丁字草)が花径1.5p位のうす紫色の花を園内のアチコチで咲かせてい るのも楽しみ。
サクラソウ サクラソウ サクラソウ
周囲の草花に負けまいとなんとか顔をのぞかせている”けなげな”サクラソウ達

今の季節自生地の厄介者はスイバ。
タデ科ギシギシ属のスイバは茎や葉に酸味があり、スカンポの別名もある。荒川河川敷では同属のアレチギシギシなど に先駆けて春浅い頃から伸びだし、花径約3oの花を花穂いっぱいにつける。雌雄異株の多年草で雄花穂の方が大きく、幅が広い。雌花は子房の生長につ 内側の花被3枚が翼状に3方向に伸び2oほどの種子を包む。あとから伸び出す同属のギシギシ類は雌雄同株。
スイバ雄花 スイバ雌花
雄花は花被片6、雄しべ6で黄色い葯が垂れさがる 赤い雌しべの柱頭は房状に細かく裂け花粉を捕える

穀雨(こくう):4月20日頃、2013年4月20日の穀雨は最高気温が11℃と2月下旬並みの寒さだった。18日は24℃まで上がりほぼ夏日だ ったのに、このところ2日周期くらいで寒暖の差が激しい。空気は冷たかったが、風がほとんどなかったのが唯一救いだった。でも午後からは小雨がパラ ツキ次第に本格的な雨になってしまった。