二十四節気の立秋に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

今の時期には珍しく富士山が遠望できました

2014年8月7日(木)

中央観察路
関東地方は5日から連続で最高気温の記録更新が続く真夏日の毎日だった。そのため空気が乾燥したのか昨日は朝露がまっ たく降りなかった。
今朝の立秋の自生地も露が全然無く、早くから真夏の太陽が照りつけた。
駐車場側からの中央観察路。いつもなら多くの露を含んだオギが左右から垂れ下がっているのに、それがまったく無く、 路面も乾燥している様子が分かります。AM5時56分撮影
露のメカニズムは「晴れた日の朝には,放射冷却によって葉の表面から熱が奪われ,空気よりも温度が下がります。空気が湿 っていると,葉の温度が露点以下になって露がつきます」(日本植物生理学会)

ミズタマソウ
アカバナ科のミズタマソウの学名はCircaea mollisでCircaeaが属名、mollisが種小名だ。よく属名を姓に種小名を名前に譬えられる。 正確にはこの後に命名者名がつくが、通常は略される。この命名法は18世紀スウェーデンの植物学者リンネが確立した二名法と言われ、ラテン語 で記される。
ミズタマソウの属名のCircaeaはまじないに使われた植物の名で、魔女キルケーに因むという。キルケーはギリシア神話に 登場する、魔法で獣や家畜に変えたと言われる気まぐれな魔女だ。
ミズタマソウの開花は気候と温度に関係があり、訪花昆虫が活発になる15℃前後と言われる。花径が約3oと小さい花は 萼2、花弁2、雄しべ2の2数性だが、花弁は大きく2裂するので一見4弁に見える。

自生地全域で薄いピンクの花を咲かせているヒルガオは、アサガオが渡来する前から在来種として親しまれており、万葉集 では「かほばな」として4首詠まれている。
フジバカマの小花は白色でわずかに紅紫色にそまる。5個内外の小花が総苞の内に集まって頭花となる。花柱は深く2裂 し、裂片は花冠から長く伸びだしてよく目立つ。 桜餅の天然香り成分のクマリンの芳香を漂わせる、秋の七草の一つ。
ヒルガオ ツマグロヒョウモン♂
葉柄にヒレが無いのがコヒルガオとの相違 ツマグロヒョウモンのオス。後翅外縁の黒帯が特徴
ママツヨイグサ フジバカマ
アカバナ科のメマツヨイグサは要注意外来生物 頭花が無数に集まって散房状の花序を作る

コバギボウシ
いよいよ最盛期を迎えはじめている コバギボウシは従来ユリ科に分類されていたが、DNA解析に基づくAPG分類体系ではキジカクシ科に属するので要注意だ。
花は朝開いて夕には萎む一日花で、長さは4〜5p、淡紫色の花の内側に濃い紫色の脈が目立つのが特徴で、6枚の花被片が 根元では筒状に合着し細まる。
コバギボウシ(小葉擬宝珠)は葉が小さい擬宝珠の事。この種の若い蕾が橋や神社、寺院の階段などの柱の上につけらている 葱坊主に似た飾りに似るからで、本来はギボシの発音が植物の名になってギボウシに転訛したという。
カブトムシ
クヌギの樹液にはアオコガネムシ、カブトムシ、そしてコムラサキもきていた
帰り際に見上げるとまだカブトムシが居たので、折よく来ていた孫のお土産にしようと棒で落としてみた。ナカナカしぶ とかったがようやく枝を離れて真下に落ちてきた。早速拾って持ち帰ったが、カブトムシはめったに飛ばないことを初めて知った。

立秋(りっしゅう):8月7日頃。立秋と言っても暑いさなかで実感がわかないが、自生地ではセンニンソウが白い十字状花を 開き始め、ツルフジバカマが鮮やかな赤紫の大きな花序をつけて、フジバカマが芳香を漂わせている。植物たちは徐々に秋への準備を始めて いるようだ。