二十四節気の白露に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

今年はナンバンギセルの群生が見られます

2015年9月8日(火)

白露の9月8日は普通なら爽やかな秋の入り口だが、9日にも台風18号が東海近畿に上陸する予報で、雨模様つづきの関東も10日 まで雨のようだ。空は比較的明るいが、降り止まず時折大粒の雨になる中を完全武装で出かけ、カメラを濡らさぬようビニール傘を差しての白露の取材に なった。
ナンバンギセル
今年はナンバンギセルがA区の外側のススキの 根元に群生している。この日は雨に打たれていつも以上に俯いているような気がした。
ナンバンギセルはススキ、ミョウガ、サトウキビなどの根に寄生するハマウツボ科の一年草。茎はほとんど地上には出ず、鱗片様の 葉腋から15〜20pの花柄を直立し先端に約3pの花冠を横向きにつける。筒状の先は浅く5裂する。柱頭は黄色い毛を密生し、ずいぶんと大きい。2本づつ長さ が違う雄しべは花冠に癒着する。萼は黄褐色の舟形で下側が深く裂け、淡紅紫色の筋が入る。果実は卵球形の刮ハで中に細かい10万粒もの種子が入る。 万葉集にも思い草の名で一首詠まれている。
写真で茎のように見えるのは花柄なので要注意(上記の説明にもある)。花柄とは一つの花を支える柄のこと。
ナンバンギセルの花の中 ナンバンギセルの雌しべ
柱頭は花の中でも下向き 花弁が枯れて露出した柱頭

ツルフジバカマとセンニンソウ
A区ではセンニンソウとツルフジバカマがコラボしてツユクサも多くの花を咲かせていた。
自生地の境界
サクラソウ自生地を守るために周囲に作られた桜草公園だが、できてみるとお役所の管轄が違い、縦割りの弊害が色々見られる。その一つが境界 だが、柵の内外で考え柵と歩道の間は長年どちらも手を付けなかった。今年は現場の作業員さんたちの努力できれいに除草された。周囲がきれいになると手入れが行き 届いている印象になるのは何とも不思議だ。

自生地内ではツルマメ、ヤブツルアズキやアレチヌスビトハギそしてママコノシリヌグイなどが小さな花を咲かせ、ゲンノショウコも 見られた。
ヌスビトハギの仲間は虫がやってくると雄しべ雌しべは飛び出たままで、他の蝶形花のように元に戻らないので、虫がきたことが分かる。 花はヌスビトハギより少し大きく、夕方にはしぼむ。
北アメリカ原産のアレチヌスビトハギと在来種のヌスビトハギの明瞭な違いは、アレチヌスビトハギは一つの節果に多くの果実が付き、 くびれは浅い。これに対し在来種は節果が2つづつしか付かず、くびれが深い事だ。
ツルマメ ヤブツルアズキ
大豆の原種と言われるツルマメ 小豆の原種と言われるヤブツルアズキ
ゲンノウショウコ アレチヌスビトハギ
フウロソウ科のゲンショウコ アレチヌスビトハギに虫がきたようです

キンミズヒキは主に鴨川べりの観察路の両側を彩っていた。円内の花は雄しべが約12個、2個の雌しべは萼筒に包まれ、普通1個だけが 成熟するという。
キンミズヒキ
ヒナタイノコズチ
ヒユ科のヒナタイノコズチは全体に毛が多く、葉は厚くて先は短く尖る。
花被片は花の後閉じて果実を包む。そして果期には 下向きに花軸にぴったりつく。

白露の自生地模様はさいたま市市民活動サポートセンター田島ケ原サクラソウ自生地を守る会のホームページ からもご覧いただけます。

白露(はくろ):花が大きいキクイモは雨滴に打たれてほとんどが萎れていた。雨を避けて葉の陰にでも居たのだろうが、突然の人間の 出現にビックリしてコミスジ、ツマグロヒョウモンなども姿を現した。 2015年10月6日作成