二十四節気の小満に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

自生地には恵みの雨だったと思います

2019年5月21日(火)

2019年5月21日の小満は朝から風雨が強い荒れ模様の天気だとの予報だったので自生地には前日の20日に行った。
ノカラマツ
21日には埼玉県中南部に大雨注意報が出されていたが14時30分頃には雨風共に止んだようだ。このくらいなら乾ききった自生地にとって は恵みの雨になったようだ。
ノウルシとコバギボシ
上は黄色いのがノウルシの枯れた葉で、緑はコバギボウシ。葉がビッシリ付くのでサクラソウは覆い尽くされて光合成ができなくなると いう。
左は高くなり始めたキンポウゲ科の ノカラマツ。これからオギなどとともに大きくなり自生地の主要植物になる。荒川河川敷にも多いが、全国的にはサクラソウより希少価値が高い絶滅危惧U類 (VU)だ。

自生地は相変わらずすべての植物の生長が遅い。特別天然記念物石碑はまだ3分の1以上も頭が出ている。
観察路から周囲が十分に見渡せ、例年なら花盛りのハナムグラはまだ蕾で、柳絮もまだ見られない。 小さなネギ坊主のようなノビルの白い蕾が多く目につく。
イチゴツナギやカモジグサが多くなり、オニユリの株がますます増え、オカトラノオ属が花穂を伸ばし始めた。
ハナムグラ イチゴツナギ
まだ蕾の方が多いハナムグラ こどもが茎にイチゴを刺したのが名の由来のイチゴツナギ

クララ
中学校生が授業でサクラソウの移植をしたという話はその後、作業をした当時の中学生の人達の話を聞ける機会があった。昭和27年の 土合中学校の農業の時間に先生に引率されて北側から掘り取った桜草をリヤカーで移植したのは事実だったという。
サクラソウの刮ハ
左上はまだ蕾のマメ科のクララ。オオルリシジミ(絶滅危惧T類)の幼虫はこのクララの蕾を食べて育つという。 上はサクラソウの刮ハ
でも農業の授業の度にやったという事ではなく、移植先も当時指定解除の協議がされていた第2自生地では無く、第1自生地だったようだ。
いずれにしても先生はすでに亡くなっていて本当の目的は不明のままだが、皆さんがサクラソウを大切に思い現状を心配してくれている 気持ちがよく感じられ嬉しかった。そして土合中学校の校章がサクラソウとも知った。

あれほど咲いていたチョウジソウが実りの季節を迎え、木の枝のような面白い袋果をつけていた。
現在サクラソウも刮ハをつけているが、先日訪れた新里のサクラソウふれあい公園の刮ハに比べると結実している割合が低く、実ってい ても小さい気がした。赤城の麓に比べるとやはり訪花昆虫が少ない悲哀なのだろうか。
コミスジ チョウジソウ ウラナミジャノメ
マメ科が食草のコミスジ チョウジソウの枝のような袋果 河川湿地に多いウラナミジャノメ

小満(しょうまん):18日に屋久島が50年に一度の豪雨に襲われ、登山者などが314人が孤立しやっと翌日救出された。26日には北海道の 佐呂間町で39.5度を観測し、5月の全国最高気温を更新したという。月末にかけても猛暑が続き日本列島は異常気象続きだ。 2019年6月4日作成