二十四節気の小暑に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

オリンピックの直前に100周年を迎えます

2019年7月7日(日)

2019年7月7日の小暑は時折強い風と共に雨も大粒になり終日雨で、最高気温が23℃とやや肌寒い一日となった。
オリンピックの直前の2020年7月17日には田島ヶ原サクラソウ自生地が天然記念物の第1号に指定されてから100周年を迎える。
祝100年ポスター
更なる100年にポスター
江戸時代には桜草の花見が盛んに行われ千住ヶ原、尾久ヶ原、野新田などの群生地は遊覧者、業者らの乱獲で消滅、浮間ヶ原は明治44年 に始まった荒川の河道修正工事により消滅し、田島ヶ原が最後の砦だったが、ここも掘り取りが横行し消滅の危機を迎えていた。
これを憂いた土合村保勝会の深井貞亮らが天然記念物指定による自然保護の大切さを提唱していた三好学博士に懇請して大正9年7月17日 に天然記念物第1号の指定を受けるに至った。

7月5日には今年2回目の観察会が行われた。前日までの雨が上がり、一時は日差しも暑いくらいの好天になって絶好の観察会日和となった。 担当は関口(春)さんでさすが浦和観察会のベテランで、4班に分かれての外来種調査は花が無い時期の植物の同定の難しさを体験できた。
アレチギシギシ アレチヌスビトハギ ネズミムギ
アレチギシギシ アレチヌスビトハギ 別名イタリアンライグラス
我々はD区を担当したが、主なものはアレチヌスビトハギ、ウラジロチチコグサ、アレチギシギシ、セイヨウタンポポ、ネズミムギ (イタリアンライグラス)、ヒメジョオン等だった。
自生地全体としては臨時職員さん達が外来種の抜き取りもしているので報告された外来種は31種類で堤防や高水敷に見られる大物は無く、 量的にも少なかった。

自生地を俯瞰
バス停付近から自生地を俯瞰すると公園との境のトウネズミモチが遠目にも白く盛り上がっていっぱいに花を咲かせている様子が見られた。
トウネズミモチ:中国原産で日本には明治初年に渡来したモクセイ科イボタノキ属の常緑小高木。在来種のネズミ モチより大木となり葉は長さ6〜12pと大きく、陽にかざすと葉脈がハッキリ見える。花序も大きい。果実はほぼ球形で楕円形のネズミモチと区別でき、果肉 をつぶすと黒紫色に指が染まるネズミモチと違い染まらない。
鳥による糞の被害が拡大し、急速に日本各地に広がっている。要注意外来生物
久保美樹さいたま市議会議員が市議会の本会議で取り上げてくれて、確か公園課の方では伐採するとの回答があったようだが、ナカナカ 実行されないようだ。

違法投棄のタイヤ
除草機
この日は残されていた横堤のノリ面の除草が行われていたが、大きな不法投棄物が出てきた。
このところ自生地内にこそ不法投棄は無くなったが、堤防にはこの始末だ。先の方にも同じようなタイヤの違法投棄物がまとめられて いるが、道路側から投げ入れられたようで、とにかく公徳心に待つより他ない

ノカンゾウやヤブカンゾウ、トモエソウに オトギリソウも見られ、ハンゲショウが葉を白くし、バアソブ は多くの蕾に花が一輪見られた。シオデの雌雄の花も見られたがオニユリの花はまだだ。
在来種のキツネガヤの細い花穂も多く見られた。
日本に生育するスズメノチャヒキ属は十余種あるが在来種はこのキツネガヤとクシロチャヒキの2種だけで後は全て外来種という。ちなみ にチャヒキとはカラスムギの別名とは知らなかった。

小暑(しょうしょ):去年は6月29日に梅雨明けするという統計史上初めての早さだったが、例年は梅雨の真っただ中で雨模様の日が多い 小暑だが、今年のように一日雨というのも珍しかった。ちなみにさいたま市の7月21日までの20日間の日照時間は16.4時間で平年の20%だったようだ 2019年7月22日作成