田島ヶ原サクラソウの現況と問題点

サクラソウの生育状況の推移

2020年の株数調査ではサクラソウの株数は47.1万株で、開花率は16%です。2011年からは10年 連続で減少し、減少傾向に歯止めがかかりません。
多くの人が今年は増えている印象を持っていたので、減っているのは信じがたい調査報告でした。
でも考えてみると今年は河川敷で一か所にあった植物が周囲に広がっている現象が多く見られました。 それが台風19号の冠水による影響だったのか他の要因だったのかは今のところは不明です。
とにかく調査開始以来57年目にして最低の47.1万株という数字は厳粛に受け止められねばなりません。
全11調査区で増えたのは10年前に2番目に少ない株数だったE区の調査区だけで後は全部減少です。 減少が顕著なのは最大の株数だったA区の調査区で、なんと4.4%と消滅したに等しい数字です。2番目に減少幅が大きいのは やはり2番目に多かったB区の調査区で29%に減少です。いずれも10年前には1,2番目の群落にかかる所の調査区です。
開花率の16%はこの10年で2番目に低い数字で、これも原因究明が必要です。
天然記念物指定100周年の2020年は良くも悪くも100年目、これ以上落ち込むことは許されません。2020年を スプリングボードにして反攻に転じましょう!!
年度別サクラソウの株数グラフ
年度別サクラソウ株数一覧
※生育状況表及びグラフはさいたま市教育委員会資料より

田島ヶ原サクラソウ自生地の主な問題点

生井兵冶筑波大学元教授は1990年の田島ヶ原サクラソウ自生地―天然記念物指定70周年記念論文集の中で 「田島ヶ原サクラソウ自生地には有効な花粉媒介昆虫は全くといってよいほど飛来しないので、野生訪花昆虫の繁殖地をいくつか 設ける必要がある。サクラソウの永続的な保全を図るには、種子繁殖による継代が不可欠。」と述べています

訪花昆虫(ポリネーター)の不在

花粉媒介昆虫(ポリネーター)不在については鷲谷いづみ東大教授も「4年間の調査でごくまれに飛来するチ ョウ以外訪花昆虫は観察できなかった」と書いています。
いずれにしてもこの問題はそう簡単に解決できそうもありませんが、とにかくコアゾーン(サクラソウ 自生地)とバッファゾーン(桜草公園)が別々の指揮下に置かれている現状は早急に改めるべきです。2000年には浦和市教育委員会か らその基本理念とサクラソウ公園全体のゾーニングへの提案がなされています。提案されてから20年の歳月が流れています。 「さらなる100年に向かって」歩を進めるにはこの提案の1日も早い実施が不可欠で、こうなってこそ野生の訪花昆虫の繁殖地を作る 事も可能です。

ノウルシの増殖や乾燥化の問題

ノウルシの増殖は深刻で、サクラソウが花を咲かせる時期には一面黄緑色の世界が広がり、その中にピンクが 点在している有様でノウルシ園の様相を呈しています。近年はノカラマツもかなり多くなり、サクラソウは年々その生育場所を奪 われています。
周囲の環境変化による乾燥化も懸念されます。とにかくサクラソウ自生地には問題山積です。

田島ケ原サクラソウ自生地の存亡は市民の双肩にかかっています

上記の問題解決には当然の事ながら自生地、桜草公園の一体化が不可欠です。2元指揮を一本化するのが「さらなる 100年」に向かって」進んで行く第一歩です。
世界遺産はコアゾーンを守るために周囲のバッファゾーン(緩衝地帯)を広く取って保護を進めています。
自生地と周囲の桜草公園の指揮系統を一本化する事こそ、ひとり減少の一途をたどっているサクラソウを 救える唯一の道です。野田のサギ山の二の舞にならぬよう皆で声を上げていきましょう。
2020(令和2)年6月11日改訂