田島ヶ原サクラソウの現況と問題点

サクラソウの生育状況の推移

2022年の株数調査ではサクラソウの株数は61.3万株で、開花率は29.5%です。株数は昨年と同数ですが 開花率は大幅にアップしました。
とにかく2年連続で減少傾向に歯止めがかかったのは評価すべきです。
そして何より開花率がアップしたのは朗報です。就任6年にして文化財調査専門員の荒木埼大准教授 たちの努力が報われつつあるという事でしょうか。
サクラソウ自生地は適度に人の手が加わる事で環境を維持し発展させていけるというポリシーが定着しつつ あるという証でもあるのでしょう。
全11調査区で減少が顕著なのはやはり最大の株数だったA区で2番目に減少幅が大きいのはやはり2番目に多か ったB区の調査区です。いずれも10年前には1,2番目の群落にかかる所の調査区ですが、耕作地に転用された事とも関係がありそうな 気がします。
開花率が劇的にアップしたのはコバギボシや増えつつあるヤブツルアズキなどのつる植物の抑制におうとこ ろが大きかったのでしょう
とにかく減少傾向にはストップがかかりました。ポリネーターの増加傾向も顕著です。サクラソウ自生地の さらなる健全な発展を期待しましょう。
年度別サクラソウの株数グラフ
年度別サクラソウ株数一覧
※生育状況表及びグラフはさいたま市教育委員会資料より

田島ヶ原サクラソウ自生地の主な問題点

訪花昆虫(ポリネーター)について

生井兵冶筑波大学元教授は70周年記念論文集の中で「田島ヶ原サクラソウ自生地には有効な花粉媒介昆虫は全くと いってよいほど飛来しない。」と述べています
そして鷲谷いづみ東大教授も「4年間の調査でごくまれに飛来するチョウ以外訪花昆虫は観察できなかった」 と書いています。
確かに以前はそうでした。でも、2019年の台風19号以来状況は大きく変わっています。
周囲の環境変化に合わせてポリネイターのハチたちも多く見られるようになりました。
自然環境はサクラソ自生地に有利な方向に変わりつつあります。
このチャンスに制度も追いつくべきです。とにかくコアゾーン(サクラソウ自生地)とバッファゾーン(桜草公園)を 同じ指揮下に置くべきです。2000年には浦和市教育委員会からその基本理念とサクラソウ公園全体のゾーニングへの提案がなされていま す。この提案の1日も早い実施が望まれます。

ノウルシの増殖や乾燥化の問題

ノウルシの増殖は深刻で、サクラソウが花を咲かせる時期には一面黄緑色の世界が広がり、その中にピンクが 点在している有様でノウルシ園の様相を呈しています。近年はノカラマツもかなり多くなり、サクラソウは年々その生育場所を奪 われています。
周囲の環境変化による乾燥化も懸念されます。とにかくサクラソウ自生地には問題山積です。

田島ケ原サクラソウ自生地の存亡は私たちの双肩にかかっています

上記の問題解決には当然の事ながら自生地、桜草公園の一体化が不可欠です。2元指揮を一本化するのが「さらなる 100年」に向かって」進んで行く第一歩です。
世界遺産はコアゾーンを守るために周囲のバッファゾーン(緩衝地帯)を広く取って保護を進めています。
自生地と周囲の桜草公園の指揮系統を一本化する事こそ、サクラソウを繁栄に導く唯一の道です。それには サクラソウを愛する皆さんの力が不可欠です。皆で声を上げていきましょう。
2022(令和4)年7月19日改訂