田島ヶ原サクラソウ自生地のトラノオは何者?No2
自然教育園でのイヌヌマトラノオ観察記
自然教育園にはイヌヌマトラノオが多く見られました
7月15日に国立科学博物館付属 自然教育園に行ってきた。
水生植物園にイヌヌマトラオノの表示があり、盛りは過ぎていたがチダケサシやシダそして色々な蔓植物に混じってたくさん
生えていた。
田島ヶ原サクラソウ自生地(さいたま市の荒川河川敷の湿地)のトラノオとの比較では
- 第一印象は葉が細い事。そして比較的平らに開いて、間隔もあいている(左の写真を参照)
,.,.
- 葉柄はほとんど無く茎を抱くようにも見えるが無柄、上部では対生にも見えるところがあったが基本的に互生
- 茎の毛は一部に見られたがほとんど無毛で、稜のあるのもあった
- 花が終わりに近い事もあり実になっている果穂が長く、極端な曲がり方をしているのが多かった
- 裂片の先は緩く尖り花冠の様子ははオカトラノオに近く、6裂など不規則な花冠はほとんど無かった
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茎には明らかな稜があります |
萼は細長い三角状です |
葉は細長く水平に開いています |
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茎毛が見られます |
葉は無柄です |
花穂はオカトラノオに似ます |
35年前ごろ迄の自然教育園はほオカトラノオが全盛だったとの事です
その日には担当の方が外出中で話が聞けず、今日ようやく電話での話の要旨は
自然教育園では35年前ごろまではほとんどがオカトラノオでヌマトラノオは少しだった。それがだんだん中間的なものが
増えてきて、オカトラノオが少なくなった。雑種は勢いがいいので今では水生植物園の全部がいわゆるイヌヌマトラノオになった。
オカトラノオの毛の多いタイプがノジトラノオだが、DNAの違いによって毛が出たり出なかったりもし、生え
方も異なるので難しい。
イヌヌマトラノオの特質については両者の中間的な性質を持つという事でその表れ方についてはハッキリ書け
ないので参考図鑑等はないだろう。
との話だった。そしてノジトラノオとヌマトラノオの雑種についてはその可能性は否定できないでしょうとの
話だった。そして今これについて専門的に研究している方はいないのでは・・・とも言っていた。
右の写真のように花穂はどんどん咲き上り果穂部分が長くなって、大きく曲がっている個体も多く見られ、
自然のままにしてある周囲の草々とあいまってかなり雑草化しているように感じた
植物名はもともと人間が便宜上付けたもので、自然界には変種、雑種が普通なのかもしれない。それを無理に定
義づけようとする事に無理があるのだろう。
タジマトラノオはグッドアイディアで、新雑種誕生を思わせます
先日の研修会では礒田先生は私は田島ヶ原サクラソウ自生地のトラノオを「タジマトラノオ」と私流に名付け
ていますとおっしゃっていたが、さいたま市の荒川河川敷一帯に自生しているトラノオを含めてサイタマトラノオでもいいと思う
が、取敢えずはタジマトラノオはグッドアイディアだ。
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タジマトラノオ 7月18日田島ヶ原サクラソウ自生地 |
イヌヌマトラノオ 7月15日自然教育園にて |
09年7月19日作成