二十四節気の大暑に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
ズボンもシャツもびっしょり濡れて重いくらいでした
2010年7月23日(金)
午前零時頃を中心にかなり強い雨が降ったようで、朝出かける時はアチコチに水溜りなどがあった。東の
空には薄雲が掛かって太陽は明るい円形のままでナカナカ輝きを増さず、ようやく抜け出しそうになったのは5時半頃だった。
今年から自生地は観察路の真中だけの除草で両縁側の草と上から覆いかぶさったオギやヨシは成るべくそ
のままにするとの指導があったようで殆ど先が見通せない個所が多い。今朝のように雨上がりに入るにはかなり準備が必要だ。
長靴を履いて旧志木街道の堤防で露払いの棒を調達して中に入ったが、そんなもので防げるわけもなく全
てを回り終えた2時間弱後にはズボンもシャツもぐっしょりと重く濡れていた。
通路に覆いかぶさっているヨシの雨滴をを払うとかなり元の高さに戻る事でも水の重さを感じたが、自生
地を出た時には我が着衣の重さで実感だった。
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今年はサクラソウ自生地の木杭も見えません |
去年の7月23日の観察路は先まで見通せます |
去年よりかなり遅いがツルニンジン属の花が見られ始めた。敢えてツルニンジン属と書いたが、キキョウ
科ツルニンジン属の日本に自生するのはツルニンジンとバアソブの2種しかなく、しかもよく似ている。
非常にまぎらわしく去年までは自生地のはツルニンジンとされていた。しかし東北大学出版会の「日本の
植物種子図鑑」が決め手になりバアソブと確認された。山渓ハンディ図鑑の「野に咲く花」にも両種の種子が載っていてツルニ
ンジンの種子は色も形もかなり特徴的だ。
鐘形の花の右は上向きの咲き終わった花、左には蕾が見えます
ツルニンジンの種子は茶の濃い部分が種子で薄い部分はヒレという。日本の種子図鑑(東北大学出版会)192ページ
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09年8月7日撮影の若い種子 |
08年9月23日撮影の成熟した種子 |
以前から両種の見分けのポイントは種子と聞いて違う時期のものを撮っておいたが、倍率がかなり違って
もツルニンジンでない事は明白だ。
そして花の色や形からもバアソブのようだが、葉の両面特に裏面に白毛が密生するという特徴は見られな
い。粉白色でツルツルしている感じで毛は無い。今年は何とかツルニンジンを自身の目で確かめてみたい。よく似た種は両方を
見比べる事が必須だ。
20日に一斉に咲きだしたと言うオニユリがアチコチで大輪を揺らせ、ヒルガオは今が盛りだった。
コカモヅルもかなり増えて観察路に伸び出したオギなど
に他のつる草と一緒に巻きついていた。ヤマノイモはいつの間にか実をつけ大きくなっているのがあってビックリ。ユウガギク
も白い花が多くなりオトギリソウは主役が果実に移っていた。
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オニユリはムカゴをつける |
7月中は7時を過ぎると閉じ始めるコカモメヅル |
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バラ科のキンミズヒキ |
サクラタデより少し花の小さいシロバナサクラタデ |
ミズタマソウは縁側の植物や観察路を覆うオギなどに邪魔されてかようやく花をつけ始めたところだった。
昼にはハッキリ開いた花が見られそうだが、これまた去年よりかなり遅い。やはり観察路際の除草の仕方が影響しているようだ。
鴨川沿いではいよいよ
キンミズヒキが長い茎を伸ばし鮮
やかな黄色い花をつけ始めいよいよ季節到来を思わせた。
耳を掠めて先のオギに止まったのはシオヤアブで、ヨシの茎に止まっていたのはアオメアブだった。両種
ともムシヒキアブ(虫引虻)で、ハエ目(双翅目)・ムシヒキアブ科(Asilidae)に属するという。他の昆虫を捕えその体液を
吸うのが名の由来で、シオヤアブ(塩屋虻)は特に獰猛でオニヤンマさえ捕食するという。でも人を刺して吸血することはない
らしい。
アカボシゴマダラは羽化したばかりなのかほとんど動かず、よく見ると葉に着いた雨滴を吸っているよう
だった。このタテハチョウの仲間は1995年に秋ヶ瀬公園などで突如として確認され、その後南関東で多数発見されているようだ
が、中国大陸原産種で分布域が離れている事などから人為的な放蝶ではないかと言われているようだ。
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先端の白を塩に見たシオヤアブ |
突然出現したアカボシゴマダラ |
目の青いアオメアブ |
大暑(たいしょ):7月22日頃だが今年は23日。暑さが極まり、もっとも暑い日が続き雷雨も多い時期といわれ
るが、今年の暑さは異常だ。今日は全国140か所の観測地点で猛暑日を記録し、さいたま市も15時には37度を記録したようだ。