二十四節気の立秋に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

さすがのヒルガオも日向に咲く花は萎れ気味でした

2010年8月7日(土)

立秋の早朝はさわやかで荒川土手には多くのウォーキングの人が見られた。でも7時半を過ぎるとじりじりと した陽射しは容赦なく照りつけ、自生地に着いた時には全身汗みずくだった。気温はすでに33℃くらいまで上がりさくら草公園は人 っ子ひとりいず駐車場も閑散としていた。
荒川堤防 さくら草公園
6時前から堤防上はウォーキングの人が見られます 11時頃のさくら草公園には人っ子一人いません
そして今自生地のアチコチで大きな花を咲かせているあのヒルガオさえ日なたの花は萎れ気味だった。
ヨシやアシの葉が伸び放題で殆ど先が見えなかった観察路は少し除草がされどうやら先が見通せるようにな った。去年鴨川に近いハンノキの根元に発生したスズメバチが今年も集まっているらしくA区とC区の間の観察路は立入禁止になって いた。
ヌマトラノオ
立入禁止 コバギボウシ
鴨川側に張られた立入禁止 コバギボウシ
周囲を丈の高いオギなどに囲まれた観察路の縁側でヌマトラノオが4〜5株楚々と白い花穂を立ていた。
東御苑のオオバギボウシは7月27日にはほとんど終わりかけていたが、同じユリ科のコバギボウシが花を咲かせ 始めていた。でも去年に比べるとまだ少なめだ。

アカバナ科のミズタマソウが小さな花を いっぱいに咲かせていたが、4日に一年ぶりに見た時はこんなに小さかったのかとビックリした。でもアカバナ科でミズタマソウ属 のみが唯一2数性といわれる花は精巧だ。緑の萼片2枚の上に先端が2裂した白い花弁2枚が十字状につき、長い2本の雄しべと雌しべ が伸びている。白い毛が密生した堅果についた露の様子が水玉草の由来というが残念ながら未だ自分の目では確認できていない。
ミズタマソウ ミズタマソウ
ミズタマソウはどんどん咲き昇っていきます 花弁は深く2裂しているので4枚に見える
クララの豆果
キンポウゲ科のセンニンソウが白い花をチ ラホラつけ始め、バラ科のキンミズヒキも伸び出した茎の先 に黄色い花、下の方には萼片に包まれた痩果を付けている。
クララの豆果の莢は10pくらいにも伸び、先は尖り、種子の間がくびれているのがよく分かる。スケールの目 盛は1p。
ウマノスズクサの花がほとんど見ら れなくなった。確か一昨年も一度終りかけて8月中旬以降にまたたくさん咲きだした記憶があるが、株が違ったのだろうか。
クララの豆果はますます膨らんで伸びていた し、フジバカマの蕾も次第に膨らんできた。

ガガイモ
白や薄紫のガガイモの毛の多い花も見られ た。ガガイモは袋果が大きくて目立ち、その中の種子が殻から白い種髪を風になびかせている様は印象的で花の存在感は比較的薄い。
ガガイモ科の花はのどに副花冠があり雄しべと雌しべが合着したずい柱を作るのが特徴と言われる。でも、 コカモメヅル等平開している花では副花冠が分かるが、ガガ イモのように花筒が長いとずい柱と長く伸び出した雌しべは見えるが副花冠は外からは見え難い。
下の3枚の写真はガガイモの袋果の変化
左は熟して口を開け始めている。真中は殻 が完全に口を開けているが、膨大な数の扁平な種子は整然と種髪とともに収まっている。右はすでに多くの種子を飛ばし種髪が風に 舞っている。
袋果:子房が一心皮でその合わせ目から裂開する
ガガイモ ガガイモ ガガイモ
ガガイモの袋果 08年11月26日 扁平な褐色の種子 08年12月7日 白い種髪が風で種子を運ぶ

立秋(りっしゅう):8月7日頃。日中は暑さが厳しいが、朝夕は暑さが和らぎ始める。立秋以降は残暑見舞いにな る。
    秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる  藤原敏行(古今和歌集)