二十四節気の処暑に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
カワラニンジンが空高く伸び、クサギは色鮮やかです
2010年8月23日(月)
処暑なのに暑さは一向に収まる気配がなく、猛暑が列島を覆っているとの報道が溢れていた。
早朝、昭和水田から盛土堤防をまわって秋ヶ瀬公園からサクラソウ自生地に着いたのは8時半頃だったが、こ
の頃には襟足がじりじりと熱線を射られているようで襟を立てざるを得なかった。
昭和水田は土日で稲刈りがかなり進んでいるかと思ったが、5分の1くらいでまだ早稲の収穫中のようだっ
た。
稲刈りが終わったばかりの田圃でもう刈り株からは青い葉が伸びているのが分かる。これはひつじ(稲孫・穭)
といい秋の季語のようだ。
ひつじ(稲孫・穭):刈ったあとの株から再び伸びる稲。《秋の季語 》 「鶉(うづら)
伏す刈田の―おひ出でてほのかに照らす三日月の影《〈山家集〉
秋ヶ瀬公園方面から入ると真っ先に目に付くフジバカマは一部花を開き始めていた。
観察路はまたオギなどが倒れ始めていたが、スズメバチの発生による立入禁止区域は無くなっていた。
今迄あまり気にならなかったアカネ科の
ヘクソカズラが何となく多く感じた。そしてたまたま甲虫が花の中に潜り込もうとしていたのを目撃してビックリ。半径5㎜
くらいの花筒に無理矢理入りこもうと頑張っていたが一体何の目的なのだろう。口吻が短くて普通は
ヤブガラシや
センニンソウなど上向きの花の蜜を吸っているいるのに暑さ
で血迷ったのでもないだろうが、結果までは確かめられなかった。
左上は7月21日伸び始めた花芽。右上は7月23日の様子
右は真中の花が雄性期で雄しべが上を向いて伸び
雌しべは下を向いている。上下の花は雌しべだけが伸び雄しべはすでに後ろ向きに丸まっている雌性期。紅い部分は花筒で根元の子
房は萼に包まれている
鴨川べりでは
クララの豆果が褐色に色づ
き、
キクイモが大輪の黄色い花を付けていた。先日来多くの花を付
け芳香を放っていたクマツヅラ科のクサギも、大きな白い花と飛び出した雄しべ雌しべ、そして丸い蕾と2㎝くらいの花筒の付け根の薄
紅色の萼などが色とりどりで賑やかだった。
2m以上はあるカワラニンジンはヨシの間でひときわ大きく伸びていた。
朝盛土堤防で花冠の大きさを測ったり、葉を観察してきたのが確かにカワラニンジンなのかよく見比べてみた。
花冠は却って小さいようだったが葉も同じようでフト感じた匂いも同じようだったので同種と確認できた。よく似ていると言われる
クソニンジンは花冠が1.5㎜と小さく葉が数回羽状に裂けるのが特徴という。
カワラニンジンはキク科ヨモギ属の1~2年草。ヨモギ属共通の風媒花で花粉を散らしやすいように下向きに
咲くという。舌状花は無く全て筒状花。中心の大部分は両性花で周辺部は雌性花、両方とも種子を結ぶ。
下の3枚はい
ずれも盛土堤防のカワラニンジンでの写真
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ミツバチは両脚に黄色い花粉団子 |
七星テントウ虫は下向きで何を? |
云い得て妙のトックリバチの巣 |
ユリ科の
コバギボウシ、アカバナ科の
ミズタマソウそしてシソ科のシロネなども終りに近かったが株
によればまだまだ元気に花を付けていた。
盛土堤防でシロネらしきがあったのではたしてどうなのか自生地のシロネを観察してみた。シロネは葉腋に円
く花が並んで形は唇形花だが、見てきた種は葉腋に着く花はせいぜい1~2個で形も5弁花、葉の鋸歯もまったく違う。一体何なのか
また宿題が増えてしまった。
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葉腋には小枝が付きそこに5弁花がついている |
シロネは葉腋に円形に花がびっしり付いている |
今日はサクラソウ自生地の生き字引みたいな田口さんとお会いした。相変わらずニコニコと明るい。この方は
とにかくサクラソウ自生地が大好きだ。興味を持っている人にはまったく同じように知っている事を全て教えてくれる。本当にわけ
隔てのない好人物だ。
処暑(しょしょ):8月23日頃。暑さがようやく和らぎ始める頃というが、今年は猛暑続きで今日も35度を超す真夏
日。山岳地方や周辺部には集中豪雨が多く災害が報道されているが東京都心の8月は平年の10分の1の雨量しかないという。さいたま
市も似た様なものでサクラソウ自生地の乾燥化が心配だ。