二十四節気の秋分に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
猛暑の影響でヒガンバナも咲くのを戸惑っているようです
2010年9月23日(木)
今朝は6時頃に外を見ると空は一面雲に覆われていたが、雨は落ちていなかった。
昨日荒川堤防のヒガンバナはやっと蕾を持ったくらいだったので、除草の時期が遅く早く茎を立てたのは刈ら
れてしまったと思ったが、夜のニュースは猛暑の影響でヒガンバナの名所でもまだほとんど咲いていないと伝えていた。
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10年9月23日のヒガンバナはまだ蕾です |
09年9月23日のヒガンバナは満開です |
去年は9月7日頃から咲き始め、23日には鴨川べりのヒガンバナは満開で一部萎み始めていたが、今朝は一部咲
いてはいたものの、大株は全て蕾のまま多くの花茎を林立させていた。
やはり猛暑の影響だ。1日の平均気温が20℃前後まで下がるのが開花の条件のようだが、今年のように昨日で
も最高気温が35℃まで上がってはヒガンバナも戸惑うばかりだろう。
猛暑の影響はヒガンバナばかりではない。オギやヨシも穂をつけるのが遅すぎる。去年まではバス停辺りから
俯瞰すると穂の白さが目立つ一面の区域があったが今年はそれが見られない。
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10年9月23日の自生地はまだ緑一色です |
09年9月23日には白いオギの穂の一帯があります |
去年までは秋分の日にはツルマメの花は終り、豆果になっていたが今年はまだ小さな赤紫の花が全盛だ。そし
て奇妙な事にヤブツルアズキの花もヤブマメも見られない。あんなにあったヤブツルアズキの黄色いカタツムリ状の花が一つも見ら
れず、ましてあの長い豆果も見られない。ヤブマメは少し時期が遅いのでこれから見られるかもしれないがとにかく不思議だ。
アキノノゲシの花も見られず、フジバカマ、ツルフジバカマの花もはかばかしくない。そしてアカネもまだ圧
倒的に蕾だ。これらはやはり猛暑の影響なのだろう。
キンミズヒキはバラ科の植物だけに花の色も鮮やかで一つひとつの花もきれいですが、これだけ繁茂すると若
干食傷気味です
変異は観察路の路傍植物にもある。例年ならびっしりと多くの花をつけるユウガギクが、咲いてはいるがまば
らでしかない。ゲンノショウコもみつけるのが大変だ。ひとり
キ
ンミズヒキだけが鴨川べりを我が物顔に、観察路のアチコチでも黄
色い花の枝を四方八方に広げている。
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アカネの花をやっと見つけました |
コカモヅルもようやく見つけました |
今年は観察路周囲を自然のままにし、倒れ込みもそのままにしてきたらしいが、あまり杓子定規の施策は危険
だし、路傍植物にも有害だ。
先の見えない観察路はスズメバチなどの被害も受け易い。心理的にも不安で植生の観察もゆっくりできない。
そしてなにより保護域の路傍植物の維持管理が不十分になり、陽射しも遮られて今迄生育していた路傍植物が衰退している。
自生地全体のバランスを考え自生地の植生を守っていく弾力的な管理作業が必要だ。
今年4月に開かれたという田島ヶ原サクラソウ自生地保存管理計画策定委員会第一回会議の議事録では
平成12年度に出された田島ヶ原サクラソウ自生地保存管理計画への提言が「現状を踏まえた上での(中略)計画を実施することが急
務である」とされている。爾来、約10年経過するが、未だ保存管理計画は策定されずに経過してきた。
と他人ごとのように書かれているが、これこそ怠慢以外の何ものでもない。実施するのが急務と提言しているのにその計画さえ策
定しなかったと平然と述べているのだ。
10年の空白を埋めるには早急な実施が急務なのに「指定範囲が地番で指定された指定区域とは明らかに相違し
ている」と述べながら指定区域の境界の確定を第2年度の事業としている。
自生地のA区の中に不法投棄された古材 10年9月20日16時15分写す
この基本中の基本は予算を前倒ししてでも実施するのが当然だ。特別天然記念物の指定範囲は明確に
し、しっかりとした囲柵を設置して地域全域が指定されている事を明示すべきだ。この事が先日の古材を投げ込む等の言
語道断の行為をなくす第一歩だ。啓蒙活動は全てそこから始まると言っても過言ではあるまい。
秋分(しゅうぶん):9月23日頃。秋の彼岸、例年なら雷が鳴らなくなり、夕立も降らなくなるというが今年は昨日
の最高気温が35℃で、今日は9時頃から終日雨。時折篠突くような雨になり雷も鳴る荒天。でも暑さ寒さも彼岸までは当たっている
ようだ。