二十四節気の寒露に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

アキノノゲシはネボスケで9時頃ようやく花を開きました

2010年10月8日(金)

観察路
観察路は手入れがされて見通しがよく両側はユウガギクが白い花を咲かせていた。サクラソウ自生地がまっ たくの自然の産物では無く人の手が加えられた里山の自然である以上こうした手作業の保護活動は必要不可欠だ。
レモンエゴマ アオジソ
レモンエゴマ アオジソ
鴨川べりの通路は相変わらず キンミズヒキがいっぱいに咲き誇り通路をふさぐ程だったが、レモンエゴマの花もかなり見られた。レモンエゴマは同じシソ科のトラノオジ ソやエゴマにも似る。そして栽培されるアオジソとも間違えやすい。身近なアオジソとの違いは前2種と同様、全体にレモンの香りが ある事に加え、葉質が厚く茎や葉脈に赤みがある事だ。

ウマノスズクサの実(刮ハ)がなっていないか色々の角度から目を皿にしてみたが実の一つだに無きぞ哀しきだった。悲しいと云えばE地区の端の方にあった カワラニンジンが途中から折られてきれいに無くなっていた。「地上部を漢方で青蒿(せいこう)といい、熱病・皮膚病に用いる」というが、そのような目的で持って行ったのだろうか?いずれにしても残念で論外の仕業だ。
ヤブマメ ユウガギク ヤブツルアズキ
ヤブマメ ユウガギク ヤブツルアズキ
カナムグラ オギ ヨモギ
カナムグラ オギ ヨモギ
ヨシやオギが穂を出し、カナムグラが雄花を立て、 ママコノシリヌグイが赤い花をつけていた。
ようやくヤブマメの薄紫の花が見られ、 ヤブツルアズキの花は旧志木街道の土手でやっと見つけた。

アキノノゲシ
アキノノゲシは7時15分頃には咲いていなかったのが9時頃からようやくクリーム色の花が見られるようになった。
一日花で咲いた花は夕方には萎んでしまうが、この花はどうも朝寝坊のようだ。一日花は太陽が顔を出せば普 通は咲くのにアキノノゲシは晴天でも9時頃にならないと咲かない。低血圧でもあるまいと思うが。
自生地に着いた7時15分には一花も咲いていなかった。8時頃ようやく半開きになったのが見え、8時半にチ ラホラ開いた花があり、左の写真は9時。
キク科タンポポ亜科なので頭花は全て舌状花、茎を切ると白い乳液が出る。花径は約2pで円内のア ップでは黄色い花粉が多く見えるがまだ雌しべは伸び出していないようだ。総苞片は覆瓦状に重なり赤い縁取りがある。

アカボシゴマダラ
9時近くなっていたが、フト見るとアカボシゴマダラが止まっていた。いつになっても動かず、どうやら羽化 したばかりのようだった。
正面から撮ってみると目の間に角のような突起があった。タテハチョウ科などでは小さく退化しているという 前足だろうか?とも思ったが念の為蝶に詳しい関口忠雄さんにお聞きしてみた。
これは頭の突起で人間なら鼻の位置にありこれが発達した種にテングチョウがあるという。機能は定かではな いが頭部の保護のためだろうとすぐ回答を頂いた。
円内は正面から見た顔の拡大。真中に2股に分かれた角のような突起が見える
アカボシゴマダラ(赤星胡麻斑):1995年に秋ヶ瀬公園などで発見されたが、中国大陸原産種で分布域が離れてい る事などから人為的な放蝶と言われているようだ。

ツユクサ
ツユクサ
左の写真は真中に白花のアップを配してあり、上の写真は青と白花の偶然のツーショットですが、よく見る と両方とも白花の茎は若草色、青花の茎は茶褐色なのが分かります。
このところアチコチでツユクサが目に付くが自生地でもコバルトブルーの鮮やかな花が見られた。上は雌しべの無い雄花、下は両性花の典型的な上下2花、下の両性花が咲いて上の雄花が蕾のもの、花と咲き終わりと果実が見られたものと色々だった。
そして旧志木街道の土手には白花も見られた。白花と青花が同じ所に咲いていたがよく見ると付いている茎は 勿論異なる。そして特徴的なのは白花の茎は全て若草色なのに対して青花の茎はほとんど茶褐色で、緑色のものも下の方は褐色味を 帯びていた。これは白花は色素が無い事から生ずる事と無関係ではなさそうだ。

寒露(かんろ):10月8日頃。露が冷たく感じられる頃というが、10月に入ってからは比較的好天が続き、猛暑の名 残りもあってか寒暖の差はあまり無くその実感は無かった。朝も薄いウィンドブレカーを着て行ったがあまり必要性を感じなかった。    水底を水の流るる寒露かな 草間時彦