二十四節気の霜降に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

キク科は約900属の最大の科で頭花をつけるのが特徴です

2010年10月23日(土)

ユウガギク
朝雨戸をあけると久し振りに明るい空が広がっていた。7時頃家を出て途中富士山が見えるかとも思ったが西の 方には雲がかかって残念ながら見えなかった。
ユウガギク ノコンギク
冠毛が殆どないユウガギク 冠毛が長いノコンギク
自生地の観察路はきれいにされ、両端はどこも野菊の白い花で埋め尽くされていた。自生地の野菊は冠毛が短 くほとんどがユウガギクのようだ。
一般に野菊と言われるのはノコンギク、シロヨメナ、ユウガギク、カントウヨメナのようだが、前2種は痩果 に長い冠毛があり、後の2種は冠毛が短い。この点から従来はシオン属、ヨメナ属に分けられていたが、最近ではシオン属にまとめ る考え方が多いようだ。
ヨメナ属の属名Kalimerisは花弁が美しいの意味で、シオン属のAsterは星の意味、こちらも花弁の 美しい形を表している。難しい事は専門家に任せて野菊の花を楽しんだ方がよさそうだ。

コメナモミ コメナモミ花
朝の逆光に白く浮かぶコメナモミ 長く伸びるのは総苞片、小花に付くのは鱗片
コメナモミが独特の船の操舵輪のような 花をいっぱいに付けて朝日を浴びていた。メナモミの茎の上部には白い開出毛が密生し、葉の両面特に裏面に毛が多くビロードのよ うな手ざわりで、花柄にも腺毛があるのが大きな違いという。
メナモミ属は他のキク科の植物と違い冠毛は無く、総苞片と花床の鱗片に密生した腺毛で動物などについて種 子を運んでもらう。

フジバカマ
フジバカマは花の盛りは過ぎたようだが一つの小花から2本の花柱が伸び出し絡み合っているのがよく目立つ。 そしてよく見ると筒状の小花が5つ集まって頭花を作っている。横から見ると総苞がそれを包んで一つの花のようになっているのが 分かる。そして頭花が無数に集まって散房状の大きな花序を形作る。キク科の花はほんとに面白い。
写真の左の円内は頭花を上から見た写真。5つの小花の先端は5裂している。右の円内は総苞が頭花を包んで いる写真。総苞片は2〜3列につく
フジバカマはヒヨドリバナとよく似ているが香りのよい事で区別される。この香りは桜餅の香りで桜の葉にも クマリンというフジバカマと同じ香料が含まれ、乾くと一層香りが強くなるという。
秋の七草のひとつで、山上憶良が万葉集に下記の歌を詠んだ事に由来する。
 その一 秋の野に咲きたる花を指(および)折りかき数ふれば七種の花 (巻八1537)
 その二 萩の花尾花葛花瞿麦(なでしこ)の花 女郎花また藤袴 朝貎(あさがお)の花 (巻八1538)

オギ アキアカネ ヨシ
オギ つるんだアキアカネ ヨシ
観察路の両側はオギやヨシが高く伸びて、見上げると白い穂が青空で風になびいている。まさに秋でつるんだ アキアカネが飛んできて近くの葉に止まった。
今年はツルマメヤブツルアズキそして ヤブマメの豆果がほとんど見られない。 アカネが花は終りに近づき緑色の実をたくさんつけ始めて、ノブドウ も赤や青のカラフルな実をつけていた。コカモメヅルの袋果 もようやく見つけたが、一時アチコチで花が見られたのが嘘のように少なかった。
自生地の中は倒伏している所がアチコチで見られるし、ツル植物が少なかったわけではなさそうだ。一時観察 路両側のオギなどを伸び放題にしてから刈ったのが一因のようだ。

霜降(そうこう):10月23日頃。朝夕の冷え込みが増し、山里では初めて霜が降りる頃というが、今朝はまだまだ 露が冷気によって霜になり降るような気温では無かった。秋の最後の節気