二十四節気の立冬に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
ハンノキが褐色の実と、沢山の雄花序をつけています
2010年11月7日(日)
立冬と言っても穏やかな晴天でお昼頃には着ていた薄いウィンドブレーカが重く感じるほどだった。ニュー
スでは最高気温は20℃くらいまで上がり10月初旬の気温と報じていた。
2週間振りに俯瞰した自生地は全体的に枯葉色が多くなり晩秋の雰囲気だった。観察路は明るく広くなったよう
だったが両縁を彩っている野菊たちはピークを過ぎて花より果実の数が多くなっていた。
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11月7日立冬の自生地風景 |
2週間前の霜降の自生地風景 |
ハンノキには褐色に熟した堅果が見られ、雄花序の冬芽が満艦飾に吊り下がっていた。
普通冬芽は鱗片に覆われているが、ハンノキ亜属の冬芽は雄花序も雌花序も芽鱗に包まれず裸出したまま冬を
越すのが特徴という。
細いソーセージのような雄花序は形も大きさからも感覚的には冬芽とは思えないが、秋から出現し2月頃に大
量の黄色い花粉を飛ばすのだから機能的には将に冬芽そのものだ。一部には花期には伸びるともあったが、とても花が咲くとはいえ
ない花の時期にも多少色が変わるだけの記憶しかない。
葉芽だけは芽鱗に包まれているという。
ハンノキはカバノキ科の落葉高木で低湿地や湿原に生育する貴重な植物。榛(シン、はしば、はり)の木 別
名ハリノキ。
埼玉県の県の蝶に指定されているミドリシジミの食樹としても知られる。
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雄花序と根元の雌花序の冬芽 |
鱗片に覆われる葉芽の冬芽 |
緑色から褐色に熟した堅果 |
冬芽(とうが・ふゆめ):晩夏から秋に形成され、休眠・越冬して、春に伸びて葉や花になる芽。寒さを防ぐた
め普通は鱗片で覆われている
ツリー状に林立していた
カナムグラの雄
花は殆ど無くなり、赤く色づいた雌花が自生地一帯で見られる。高く伸びた
アキノノゲシに絡みつきその先にも蔓先を空に伸ばしている豪の者もあった。
カナムグラ(鉄葎)はアサ科のつる性の1年草で雌雄異株。風媒花で花粉症の原因植物の一つ。針金のような
強靭な茎や柄に下向きの鋭い刺をつけ何にでも這いあがる。苞の縁には荒い毛が多く花被に包まれている痩果はナカナカ分かり難い。
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苞が割れて冠毛が現れた |
風を待つ種子 |
自生地の所々で目立つアキノノゲシは花が終わり葉が枯れて褐色化し、花の時期の上品さは白い冠毛に
残っているのみで何となく汚らしい。でもよく見ると熟して総苞が開き真っ白な冠毛が現れて、一つひとつの種子が風に舞う様には
自然の妙を感じる。
ツル植物はほとんどが果実をつけているが
シオデ
はもう真っ黒な液果が萎びかけ、
センニンソウはだいぶ風に
飛ばされたようで残りの痩果は少なくなっている。
ヤブツルアズキ
の長い豆果に代わって
ヘクソカズラの黄土色に熟した果
実やノブドウの白い液果が多くみられた。
アカネの実も褐色に変化
し、
コメナモミは腺毛まで紅葉している。
立冬(りっとう):11月7日頃。この日から立春の前日(節分)までが冬の季節。秋が深まり落葉を濡らす時雨が次
第に木枯らしを呼び本格的な冬の到来となる。 旅人と我名よばれん初しぐれ 芭蕉