二十四節気の小雪に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
自生地のヨシが本当に少なくなっているようです
2010年11月22日(月)
午後から雨で所によっては強く降るとの予報だったので午前中に観察を済ませるつもりで8時30分頃家を出た。
朝は明るかった空が次第に暗くなったが気温は暖かくとても小雪とは思えなかった。途中の鴻沼排水路の遊歩道の桜は紅葉が終わり
かけで歩道が落葉で埋め尽くされていた。
鴻沼排水路の桜並木の紅葉はだいぶ散っていたが、木に残っている葉は曇にも拘らずまだ十分観賞できた。
自生地を一周して帰ろうとした10時30分頃にはポツンポツンと落ち始め、すぐに本格的な雨になってしまった。
サクラソウ自生地がいっぺんに秋色に変わっていてビックリしているところにKさんから俯瞰写真を撮ってき
て欲しいとのTELが入った。ヨシが非常に少なくなっているらしいのでそれが分かったらとの事だった。
左はさくら草橋方面から入って自生地の北東方面から俯瞰。下は旧志木街道の堤防上からのアップ写真でい
ずれも白い穂が一面に広がっていてオギ、ヨシの区別はつかなかった
この時期になると殆どが白い穂になっていて俯瞰しただけではヨシもオギも変り無かったが、自生地内では倒
伏して低くなった所に疎らに伸び出しているのがヨシで、まとまって生えているように見えたのは公園側入口付近だけだった。あま
り気にも留めなかったが、ヨシはこんなにも少なかったのだろうか。
倒伏地に疎らに伸び出している万葉の昔から親しまれているアシ(葦・蘆)現代では悪しに通じるのでヨシと言われる
ヨシは環境指標植物の1つと言われるが、湿地に生育するヨシが少なくなっているのはまさしく乾燥化の進行
で、湿地に生える植物が多い自生地にとっては深刻な問題だ。調査専門員の礒田先生は常日頃乾燥化を心配されているが、現実の植
生に影響を与えるほどに進行しているとすると大変な事だ。
左は自生地内で普通に見られるオギ群落。オギも湿地に生育するがヨシの方がより水湿地を好む。オギはスス
キとよく似るがススキのように株を作らず、根茎が長く横に伸びしばしば大群落を作る。小花の外花頴にはふつう芒がない。
コカモメヅルの袋果は絶対にある筈と探した甲斐があって2〜3見つけた。少し種を飛ばしたようなのもあった。
ウマノスズクサははかない望みをかけて懸命に探してみたがやはり果実は見つからなかった。
今シーズンツル植物の果実で目立つのはノブドウの白い実だ。同じ白い実でもスズメウリの実は少し大きく透
明感があり真珠のようにも見え長い柄につり下がっている。これに対してノブドウの白い実は透明感が無く細かく枝分かれした短い
柄の上にまとまって付き、熟すと赤紫や青に色づくが虫こぶになる事も多い。
|
|
ここではノブドウの葉も残っていました |
前日の21日に塚本の荒地にあったスズメウリ |
花は同じブドウ科のヤブガラシにそっくり。ヤブガラシは淡緑色の花弁と雄しべが4だがノブドウは花弁と雄し
べが5と一つづつ多いが、両者とも花弁はすぐに抜け落ち雄しべと雌しべだけが残る。
|
|
ノブドウの花は花盤が地味ですが形はそっくりです |
ヤブガラシの花盤の朱色はすぐにピンクになります |
小雪(しょうせつ):11月22日頃。山の峰が雪で白くなり冷え込みが増し、冬の気配が漂い始める頃と言われるが
今年はあまりその実感が無い。今日の小雪も昼ごろは雨だったが、やんだ後は寒さを感じなかった。