二十四節気の雨水に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
ノウルシの木化した太い根っこが所々で見られます
2011年2月19日(土)
前日の18日の深夜から明け方にかけてかなりの雨が降ったようだが、その後の晴天と強風の影響だろうかサク
ラソウ自生地の観察路は何処もぬかっている所はなかった。
朝方は青空が広がっていたが次第に雲が広がり自生地にいた2時間くらいは陽が陰る事が多かった。そして意
地の悪い事に帰る頃になってようやく薄日が射し始めた。
駐車場側からの観察路。よく見るとアチコチで植物が芽を出し始めていますが、全体的にはまだまだ無機質の
世界です。
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赤い芽の方がどうも優勢です |
成長の早いノウルシ |
ノウルシの露出している根が一部で見られたが、完全に木化している(左の写真参照)。昨
年保存管理計画策定委員会を立ち上げ、ノウルシ対策も語られたようだがもう本腰を入れてノウルシ対策をせねば特別天然記念物指
定のサクラソウ自生地の明日はないように思う。
ぼつぼつと土を破って出ているノウルシは自生地では圧倒的に赤い芽が多い。中には緑色もあるが成長は赤い
方が早く、葉が展開するにつれて緑色に変わっていくようだ。
自生地に繁茂する事ではノウルシと双壁のキンポウゲ科のノカラマツは環境省のレッドリストでは同じ準絶滅危惧(NT)だが印象的
には地味で図鑑にもアキカラマツ程は載っていない。
でも芽出しは柔らかなピンク色でルーペで見ると精巧な花のような形をしている。生長するにつれて透明感のあるあんず色になり、
緑に変化するが一部は地面に張り付くような感じで暗赤色の葉を茂らせている。
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何か海藻を思わせるノカラマツの芽生え |
バラの花を思わせるような幼葉 |
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まだ海藻のような感じが抜けません |
ようやく緑色の成葉です |
ノカンゾウの2つの小刀を反り合わせた様な厚みのある芽やノビルの弱々しい線形の葉の群生、そしてアマナ
のヒョイヒョイと伸びた細くて丸みのある葉などが草焼きをした後の褐色の自生地を少しづつ彩り始めている。
しかしサクラソウは相変わらず晩生だ。まだよ〜く探してようやく毛の生えた若草色の芽が見つかる程度だ。芽を出すのが遅くても
生長が早ければいいが、芽出しから花の盛りまで絶えずノウルシに負けている。
雨水(うすい):2月19日頃、温かさに雪や氷が解けて雨水として降り注ぐと言うのが語源。天文学的には、太陽
が天球上の黄経330度の点を通過する時。
昔から、農耕の準備を始めるのは雨水が目安とされて来た。また、この日に雛人形を
飾附けると良縁に恵まれるとされている。