二十四節気の小満に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
ノイバラが白い花を密につけ芳香を放っています
2011年5月21日(土)
自生地に下る途中の堤防の斜面は腰くらいまでの高さのネズミムギが一面を覆っている。
ネズミムギはイネ科のユーラシア大陸原産の1〜2年草。明治初期に牧草として導入されイタリアンライグラス
とも言われ、各地で野生化している。似たようなホソムギには芒が無く、ドクムギは小穂とほぼ同長くらいに包頴が長い。
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当初は牧草として導入されたネズミムギ |
この時期荒川土手で多いヘラオオバコ |
ヘラオオバコもかなり雄しべを咲き昇らせて、相変わらず面白い形の穂をアチコチで揺らせている。皮肉な事
に自生地に下る斜面はギシギシなどを含め今や外来種で覆われている。
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白い柔らかそうなオギの開出毛 |
咲き始めたハナムグラ |
特別天然記念物の石碑が4分の3が隠れるくらいにヨシやオギが伸びてきた。今の時期はヨシは天を目指してす
っくと立ってオギの上に伸びている。オギは葉が曲線を描いて先が垂れているが、何よりの違いは根元近くの茎が赤みを帯びて白く
て細い柔らかそうな毛(それでいて刺さると非常に痛い)を密生させている。
サクラソウや一時全盛を誇ったアマドコロは全く見えなくなり、チョウジソウの花も見えない。代わりにハナ
ムグラがアチコチで蕾を付けはじめトダスゲは膨らんだ粟粒状の果苞が重なって付き、牧野富太郎がアワスゲと名づけた通りになっ
てきた。
ノイバラが白い花をいっぱいに付け芳香を放っている。
花いばら故郷の路に似たるかな 蕪村
蕪村も好んだ花の一つだったようだ。 バラ科バラ属 別名ノバラ 落葉低木 托葉は葉柄に合着し、縁は櫛
の歯状に深く切れ込み赤い腺が目立つ 托葉の基部に対になった鋭い刺がある。秋につける赤い実は果実に見えるが、中に長さ3〜4
oの痩果が5〜12個入った偽果だ。
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托葉は櫛の歯状に細く切れ込む |
葉は奇数羽状複葉 |
イチゴツナギが鴨川側で群生し細かい花を付けていた。
イチゴツナギ(苺繋)はイネ科の多年草で子供たちがこの茎に苺を刺して持ち歩いたのが名の由来。花序のす
ぐ下に逆向きの刺があって非常にざらつく事からザラツキイチゴツナギの別名がある。葉舌は白い膜質で長さ6〜8mmありよく目立つ
のが特徴。
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イチゴツナギの茎は細くて硬い |
カモジグサの名は長い芒をかもじに見立てた |
カモジグサはE区の一部に群生している。イネ科カモジグサ属で紫色をおびた小穂が2列に並び、外花頴には長
い芒がある。内花頴は外花頴とほぼ同長で、アオカモジグサは外花頴に長い剛毛が散生し内花頴が外花頴より明らかに短い。
髢・髪文字(かもじ):地髪が短くて結い上げられない場合の添え髪。
アカメヤナギは柳絮をしきりに飛ばしていた。ヒラヒラ舞い落ちている感じだがカメラではなかなか捉えきれ
なかった。
フト下を見ると真綿を敷いたように柳絮が落ちていた。淡雪にも見えるそれは降る雪の形容にも用いられると
いうが将にそんな感じだった。
柳絮(りゅうじょ):柳の花が咲いた後、白い綿毛のある種子が散るさま。また、その種子。やなぎのわた。
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刮ハが裂開して柳絮が風を待っています |
白く見えるのが地面に舞い降りた柳絮 |
小満(しょうまん):5月21日頃、「陽気盛んにして万物長じ、草木が茂り天地に満ち始める頃」という。この日
は午前中ボランティア団体・神田川船の会の東京を川で巡るツアーに参加した。一時の悪臭はまったく無くなったものの日本橋川
の大部分が高速道路に覆われる等川の清々しさはあまり感じられなかった。よくぞここ迄という気持ちの半面、自然と言うには程
遠い川の姿にチョット複雑だった。