二十四節気の立秋に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

ミズタマソウの精巧な小さな花がいっぱいです

2011年8月8日(月)

観察路
前日は夜一時雨だったので自生地には遅めの9時15分に着いたら、残念ながらコカモメヅルはすべて花を閉じていた。駐車場側の観察路入り口付近にはホウズキが赤く色づいていた。
B区の切り倒されたクヌギは根っこの部分をきれいに掘り出して痕跡はほとんどなくなっていた。Sさんによると年輪は32〜3まで数えられ、樹齢はそれより少し上くらいだろうという。
駐車場側からの観察路。国指定特別天然記念物の碑はすっかりオギなどに覆われてしまっています。観察路は覆いかぶさったヨシや蔓植物を切った方が路傍植物が観察し易くなります

ミズタマソウが花の時期を迎え観察路際で多くの花を付けていた。ユウガギクなどと一緒に柵の蔓植物などの下に生えているので草姿も小さく、太陽を浴びて自由奔放に伸びた自然教育園のものよりミズタマソウの名にふさわしい。
アカバナ科の多年草だが水田や湿地に生えるホシクサの別名もミズタマソウなので混同しないよう要注意だ。
ミズタマソウ ユウガギク
ミズタマソウの花とマメヒラタアブとの大きさに注目 同じマメヒラタアブがユウガギクに止まっています

シロネ
ママコノシリヌグイが多くはないが鮮やかな花をつけ、シロネが葉腋に小さな白い唇形花を固まって付けていた。
シロネ(白根)はシソ科の多年草で太くて白い地下茎があるのが名の由来とか。長さ5oくらいの小さな花は下唇が長く萼裂片は刺状で先が尖る。よく似たコシロネは花冠がほとんど平開し萼裂片は狭3角形の違いがある。
近くの観察路脇に同じシソ科のイヌゴマが唇形花を広げ、色々なつる草が絡まってウマノスズクサが群生している葎に羽化したばかりのアブラゼミが止まっていた。

倒伏したオギの上にヒルガオがたくさんの花をつけている。
その先の鴨川寄りにバラ科のキンミズヒキが黄色い花を付け始めた。これから初冬まで長い間自生地に繁茂し花も紅葉も美しいが、痩果は小さな刺で何にでもくっ付き草姿は雑草然としている。
バアソブ ウマノスズクサ キンミズヒキ
バアソブ ウマノスズクサ キンミズヒキ
シロバナサクラタデ コアオハナムグリ ヘクソカズラ
シロバナサクラタデ コアオハナムグリ ヘクソカズラ
ユリ科のコバギボウシは鴨川べりで蕾を付けているのが見られE区でも花を付け始めていたがまだハシリのようだ。
クヌギにコアオハナムグリのような甲虫がたくさん飛んで来ていたが、樹液に集まっているのではなく今年の殻斗の鱗片に潜り込んでいた。いったい何をしているのか不思議だった。

トキワハゼ
トキワハゼ ムラサキサギゴケ
トキワハゼ ムラサキサギゴケ
観察路の片隅にトキワハゼが一株花を付けていた。
ゴマノハグサ科のトキワハゼはムラサキサギゴケとよく似ているが匐枝はださない。トキワハゼの花冠は1pくらいで下唇はほぼ白色なのに対して、ムラサキサギゴケは13〜20mmと大きく下唇が淡紫色〜淡紅紫色の違いがある。

自生地内でもアカネ科のヘクソカズラの葉が随所に見られたが花を咲かせていたのは鴨川沿いのホンの少しだった。日当たりのいい駐車場の植え込みではヘクソカズラが多くの花をつけ時期到来を告げていた。
秋の七草のひとつフジバカマが蕾をたくさん付けていた。立秋というには厳しい暑さが続いているが、自然は確実に変化している。

立秋(りっしゅう):8月7日頃で今年は8日、日中は暑さのピークでも早朝にはかすかに清々しさが漂うというが今年は異常。18日には最高気温が38℃まで上がって夜になっても下がらず、寝ている時の熱中症にも注意のニュースが流れていた。