二十四節気の白露に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
センニンソウ、ツユクサ、ツルマメが自生地を彩ります
2011年9月8日(木)
白露の今日はようやく2日続きの晴天となった。野草に朝露が宿る頃というが、台風12号の余波でハッキリしない天気続きだったので爽やかな秋の気分には程遠い。そして久し振りの太陽は焼けつくように暑かった。
自生地の作業員が桜草公園の第2駐車場ノリ面のセイタカアワダチソウを手作業で抜いていた。自生地に種子が飛ぶのを事前に防止する作業だ。
近くの旧志木街道の斜面では除草車が効率よく動いていた。ここは国と市の管轄が入り組んでいる上にさいたま市でも自生地と桜草公園とは管轄部署が違い連携はまったくない。縦割りのお役所の典型であきれるのを通り越して感心するほどだ。
ツルフジバカマは8月の末ごろから花を付け始めクサフジはそれより早い5月〜7月が花期のような気がしたが近頃は同じ時期に咲いている事も多いようだ。今日も後から行った河川敷ではクサフジが咲いていた。
写真中央上の円内はツルフジバカマの花。右上は質が硬くて歯がある托葉
両種の違いはツルフジバカマの小葉が10〜16に対してクサフジは18〜24と多く質は薄い。そしてツルフジバカマの托葉は質が硬くて数個の歯があるが、先が2裂か裂けないの違いがある。
観察路際にはキツネノマゴやヒユ科のヒナタイノコズチが所々で地味な穂を立てよく見ると小さな花も付けていた。
イノコズチ属は花は横向きに開くが果期には花茎に下向きにぴったり付くのが特徴という。ヒナタイノコズチはヒカゲイノコズチより毛が多く、葉が厚く、花が密に付く花序が太いのが相違点という。
ヒナタイノコズチ(日向猪子槌)は日当たりのいい道端などに生える多年草で、膨れた節をイノシシの膝に譬えたのが名の由来という。この節は虫こぶでしばしば肥大して大きくなるようだ。
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ヒナタイノコズチの花序は太いのが特徴 |
花は花被片5、雄しべ5、雌しべ1 |
フジバカマはちょうど花の時期で桜餅と同じクマリンの芳香を漂わせていた。
秋の七草にも詠まれているこのキク科の花は奈良時代に中国から渡来したとの説と日本原産種との説がありどちらともハッキリしないが、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧(NT)だ。また近年栽培用に中国から移入されて野生化しているものもあるようだ。
フジバカマ(藤袴)の一つの頭花には5個の筒状花があり、それぞれ2本の雌しべが長く伸び出している。写真で不規則に伸びている白い線状のものが雌しべ。
ママコノシリヌグイやユウガギク、アレチヌスビトハギも見られコバギボウシはもうそろそろ終わりだ。
キンミズヒキはアチコチで見られたが特に鴨川沿いに繁茂しキクイモと争うように細いたくさんの花穂を不規則に立てて通路を覆っていた。あまり人が入らないように自然に茂るままに任せているようだ。
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ママコノシリヌグイ |
アレチヌスビトハギ |
黄色のヤブツルアズキとツルマメの小さな花。大きさがずいぶん違うが豆果は前者が細長く後者は枝豆に似て毛が多いのが特徴
自生地の生き字引のような田口さんに「ツルボが咲いてるよ」と教えられ、行ってみると観察路際のユウガギクなどに埋もれるようにして咲いていた。陽が当たり難い所なので如何にもひ弱で土手に咲くツルボの明るさはなかった。
ツルボはユリ科の多年草で春と秋に葉を伸ばし、春の葉は夏には枯れて秋にはまた新しい葉が花茎の根際に生える。
白露(はくろ):9月7日頃で今年は8日。字の如く野の草に白い露が宿る頃で、秋の訪れを実感する頃といわれるが今年はその雰囲気がない。ようやく青空が広がりこれからが本番だ。