二十四節気の秋分の日に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

チカラシバの黒穂病がサクラソウに影響ないか心配です

2011年9月23日(金)

台風15号の影響で昨日は観察路が殆ど冠水していた上に、夕方にわか雨が降ったので長靴持参で10時15分に自生地到着。定点から俯瞰するとオギが穂を出している一帯が見られ倒伏している部分ではヨシが所々で立ち上がっていた。
倒れ込むアキノノゲシ 観察路中央
観察路に倒れ込むアキノノゲシ 観察路中央から駐車場方面を望む
最深部 中央通路突き当り
ハンノキの辺りは水深30pくらいでした クヌギの枝が折れてドングリも落ちていました
駐車場側からの観察路は昨日とほとんど同じところまで水没していた。ヨシやアキノノゲシが観察路に倒れかかり、中央付近のクヌギの下辺りは折れた枝が観察路を塞いでいた。中央路のE区に突き当る少し手前が一番低いようで30pくらいの水深があった。E区沿いの観察路は中央付近が冠水しているだけで公園側も鴨川側もすぐに地表が出ていた。B区とD区の間の公園側も中央付近が冠水しているだけだったが鴨川側はかなり深く水に覆われていた。

ヤブツルアズキ
キンミズヒキにハナアブ ヒメジャノメ
キンミズヒキにハナアブ ヒメジャノメ
今年は本当にヤブツルアズキが多い。アチコチでキンミズヒキに負けないくらい黄色い花を付けている。反対にあの小さな赤紫の花を 固まって付けるツルマメがまったく見られない。注意して見ても花は一つも見られなかった。豆果をやっと2〜3つ見つけたがあんなに多かった花はどこに消えてしまったのか不思議だった。雨風ですべて落ちてしまったのだろう。
一部ではキンミズヒキが黄葉し始めていた。カナムグラが雄花穂を立て始め、キツネノマゴも多くなった。アレチヌスビトハギはたくさんの豆果を付けて、ヒナタイノコズチは先端にだけ花が残り実は花茎にピッタリくっついて細くなり別種のようだった。センニンソウも花の形をした花はまったく無くなり果実の季節に移ろうとしていた。

チカラシバ
黒穂病 雄花
黒穂病のチカラシバ 葯をつるした雄花
右の写真のチカラシバはすべて黒穂病のようでした
一昨年も昨年もチカラシバの穂をしごいて観察路脇にばらまいている奇妙な人がいたらしいが、実際に去年あたりから急に増え、今年も大株のチカラシバがあちこちに見られた。
今日は針のような毛が多い花穂に白い花らしきが付いているのが見られた。それも株全部の花穂なのでてっきり花と思ったがどうも違うらしい。
他で見るとイネ科独特の葯をぶら下げている。赤紫の葯が付いているのが雄花で、白くなっているのは中に黒い粉が詰まっている。どうやら黒穂(くろほ)病らしい。黒穂病はイネ科植物に多く発生し多くの場合花とくに子房が侵され、黒い粉を生ずるという。
「サクラソウの風土病にプリムラに特異的なクロホ病菌によるクロホ病があり病気に侵されたサクラソウでは果実の中に種子のかわりに黒い胞子がつまっている」(サクラソウの目 鷲谷いづみ著)という記述もありサクラソウへの伝染がちょっと心配になった。

アカネ
ジョロウグモが観察路が水没して人が来ない事を知ってなのだろうか観察路の真中に大きな巣を張っていた。
アカネが小さな花をたくさん咲かせていたので接写しようと思ったら目の前にクモの巣があった。アカネに寄ってくる虫を目当てに巣を張っているのだろう。自然の巧みさには本当に感心するばかりだ。
ゲンノショウコ クコ
ゲンノショウコ クコ
強い雨風が続いた後だからだろうか何となく蝶たちの飛び方がのろいような気がした。
イシミカワの円いお団子を重ねたような実が見られ、コカモメヅルの飛行機の羽のような小さな袋果もあったし、ゲンノショウコとクコの花がほんの一輪づつ咲いて、A区の倒伏原にはアキノウナギツカミ、ツルフジバカマなどが所どころに群生していた。

秋分の日(しゅうぶんのひ):9月23日頃。秋の彼岸の中日。今年は前々日に台風15号が秩父地方を通った為さいたま市もかなりの強風雨に見舞われた。そのためか台風一過今朝は秋到来を感じさせられた。