二十四節気の立冬に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
サクラソウ自生地の近くまで来て迷う事はなくなりました
2011年11月8日(火)
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ズーッと気になっていた看板 |
皆に親切になった看板 |
立冬の8日には日光近辺の紅葉狩りをして塩原温泉に一泊する予定だったので前日に自生地に行ってきた。
さくら草橋交差点の自生地側にある「この先歩道終わり」の看板はいつも気になりながら警察署や市役所相手ではどうせ「検討します」で終わりと諦めていたが、10月19日にダメモトと電話をしてみると意外にスムーズにいって、桜区役所のくらし応援室の小宮さんが取り替えるとの連絡をくれていた。
朝は従来通りのタテ看だったがこれとももうすぐお別れと思うと思わずシャッターを押してしまった。そうしたら夕方に小宮さんから今日看板を付け替えたとの連絡を頂きビックリ。もう陽が落ちていたので早目に帰ってきた9日に早速行ってきた。
半月あまりでつけ替えてくれたスピーディさに驚き、わざわざ遠方からサクラソウ自生地を訪れる人が間近に来て迷わずに済むのは勿論、歩道で志木方面にいく人にも親切な立て看板になって大感謝だ。
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オギの白い穂が一面に広がっている自生地 |
ヨシはオギより抜きんでてすっくと伸びます |
自生地を俯瞰すると一段とオギの白い穂が目立っている。観察路に入ってもオギが圧倒的でヨシは所々で飛びぬけて紫褐色の穂を付けているだけだ。ヨシは水位がほぼ地表付近の水辺を中心に生育し、より乾いた所ではオギ群集に移行するという。
ヨシという呼び名は万葉以前には見当たらず、アシは悪しに通じるのでヨシと言われるようになったという。
古い日本の美称の豊葦原瑞穂国(とよあしはらみずほのくに)は多くの所でアシが茂っていた事によるからで、アシ(葦、蘆、葭)は青しが転じたものと言われる。
葉は主脈が不明瞭で質は軟らかく途中から下に折れ曲がる事が多い。茎は太くて硬く中空だが若い茎は新たな茎が内側に幾重にも重なって脱皮するように成長する。秋の枯た茎の内側が赤くなっているのはつい先日知った。
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秋型のキタテハの表翅は夏型より鮮やかな山吹色 |
裏翅は枯葉模様で後翅にC字が見える |
このところ自生地で見かける事が多いキタテハは夏型と秋に発生し成虫で冬を越す秋型があるという。
翅の表側は黄色に褐色の斑点があり後翅の斑点には水色の点があるのが特徴で、縁には大小の突起がある。裏側は枯れ葉のような保護色で、後翅にはC字形の模様がある。
一般的に秋型の方が黄色が鮮やかで褐色の縁取りが薄いという。幼虫の食草はカナムグラで成虫で越冬することから早春に咲くサクラソウのポリネーターと期待するむきもあるようだ。
立冬の8日にはアスファルトと石垣の狭い隙間にスミレが生えているのを見つけた。そしてよく見ると黒と赤の毛虫がたくさん付いている。葉が食べ尽くされて茎だけになっている株もあり、そこにも毛虫だ。
ヒョウモンチョウの幼虫らしい。1900年代以降関東でも見られるようになったというツマグロヒョウモンの幼虫でスミレが食草という。食欲が旺盛で栽培種のパンジーなども食べ尽くしてしまうという。
毒々しい色合いだが刺す事も毒もなく、天敵はセグロアシナガバチという。
観察路の縁側のユウガギクは花が少なくなり頭果が多く見られる。チカラシバも褐色に変色。アカネは緑色の小さな双子の実をつけていた。今年は花が多かったヤブツルアズキの長い褐色の豆果が見られ一部では豆を飛ばしてよじれた殻も見れらた。
鴨川沿いにはカントウヨメナ、コメナモミ、そして実をいっぱいにつけたレモンエゴマや赤い実をのぞかせたマユミの刮ハもみられた。
ハンノキが褐色の果実と一緒に雄花穂を付けている。真珠のようなスズメウリの白く熟した実も見られた。クコが花と緑色の実をつけて、フジバカマは白い冠毛をいっぱいにつけ種子を飛ばす用意万端だ。
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コメナモミ |
ユウガギク |
カントウヨメナ |
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フジバカマ |
オギ |
スズメウリ |
立冬(りっとう):11月7日頃、今年は8日。温暖化の影響もあるのだろうが、未だ冬の訪れという感覚はない。晴天の8日は日光を過ぎていろは坂の手前あたりのまっ赤な紅葉を堪能し、まさに秋たけなわだった。