二十四節気の小雪に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

シロバナタンポポも見られた小春日和の勤労感謝の日

2011年11月23日(水)

いつもの所から俯瞰すると自生地は前回より一層白い穂に覆われ、枯葉色が強くなっていた。
観察路に入ると目線の所は葉はほとんど無い節のある細い茎(稈かん)が林立し、見上げると2mを越すオギが青空をバックに白い穂をなびかせていた。縁側のユウガギクはほとんど頭果に変わり、黒褐色になったのが多い。そんな中でチラホラ花をつけているのはカントウヨメナのようだった。
風にそよぐオギの穂

昼近くに珍しく話し声が聞こえた。サクラソウと同時期に咲く花の掲示板を見ていた年配のご夫婦だった。そしてまたすぐにカメラを持った若い夫婦とすれ違った。
観察路 オギの群生
2m以上のオギに囲まれた観察路の縁はユウガギク オギの白い豊かな穂が覆い尽くす自生地
コカモメヅルが生えていた所で両脚を広げたような小さな実を探していると通りかかった親子ずれの母親が「一面にあるこの白い穂はなんですか?」と聞いてきた。「ススキによく似ているけど湿地に生えるオギですよ」と答えると「カヤとは違うのですか」と再度尋ねられた。「萱はススキやオギなど萱葺き屋根を葺く植物の総称です」と答え、話がはずみかけたが子供にせかされそれで終わってしまった。でもこの季節に観察路を散歩して、興味を持ってくれる人と会えたのは嬉しかった。
かや【茅/萱】屋根をふく材料とする草。イネ科のススキ・チガヤやカヤツリグサ科のスゲなどの総称(国語辞典)

シロバナタンポポにアブ
シロバナタンポポ シロバナタンポポ
最初は近くに咲いていたハコベに止まっていたのに飛び立って不敵にもシロバナタンポポに挑戦しようとしているマメヒラタアブ
旧志木街道の堤防のノリ面にシロバナタンポポらしきが咲いているのを見つけた。
まさかと思ったがよく見るとアチコチに咲いている。この季節、田んぼの畔などにノジスミレが花をつけているのはよく見るし、このところ堤防でもセイヨウタンポポが咲いているが、まさかシロバナタンポポがこんなに咲いているとは思わなかった。
頭花が大きく5pもあった。総苞の外片は黒っぽい大きな角状突起が目立つというがセイヨウタンポポ同様に反り返っていた。そういえばセイヨウタンポポと同じように単為生殖をするという。
単為生殖:一般には有性生殖する生物で雌が単独で子を作ることを指し、植物では受粉せずに種子が生じる場合を単為生殖と呼ぶという。

昭和水門 さくらそう水門
さくら草橋の近くに建つ昭和水門 ビューポイントの一つ、さくらそう水門
サクラソウ自生地から北東方面に昭和水門、南西方面にさくらそう水門が遠望できる。
両水門は荒川の治水工事でサクラソウ自生地が乾燥化しないよう、10年に一回の頻度で起こってきた洪水による冠水を起こさせるように建設されたという。
平常時には両水門とも開けて鴨川が荒川本川へ流入している。小洪水または洪水初期にもサクラソウ自生地の冠水頻度を変化させないため両水門は開けたままにし、中洪水の時に初めて閉めて上流の越流堤より洪水を起こさせる仕組みとの事だ。
自生地への冠水は平成9年に第一調節池完成後、平成11年と19年に記録されている。

観察路の両側には褐色が濃くなって剛毛が相変わらず元気そうなチカラシバが多く見られる。観察路の所々に倒れかかっているオギの白い穂はたくさん付いていた毛が少なくなったのか細くなったのか小穂がハッキリ見えるようになった。
緑色の実をあれだけ付けていたクコの実が見当たらない。ようく見ると陰になった所に赤くなった実が3〜4個ついていた。きれいで食べられるので目立つ所は皆取られてしまったらしい。ハンノキはこの時期、実と葉そして新しい年の花序を同時につけている。
オギ オギ
オギの艶やかな純白だった長い花穂にも変化が すでに小穂を飛ばした跡も見えます
ノブドウ マユミ コカモメヅル
ノブドウ マユミ コカモメヅル

小雪(しょうせつ):11月22日頃、今年は23日で勤労感謝の日と重なった。現在は宮中祭祀の一つとして行われている新嘗祭がその前身と初めて知った。1947年までその年の収穫に感謝する収穫祭として祝祭日になっていたのが、1948年より勤労感謝の日に衣替えしたという。勤労感謝と言うと何となくサラリーマンを連想してしまい、収穫を祝う意味合いが薄くなった気がするのは私だけだろうか。