二十四節気の清明に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

早春から咲くサクラソウには試練の嵐でした

2012年4月4日(水)

昨日は日本海で発達した低気圧の影響で全国が台風並みの強風雨に見舞われ交通機関の運休が相次いだ。さい たま市も夕方前後を中心に強風雨が吹き荒れて大荒れの天候だった。
一夜明けた清明の今日は文字通りの澄んだ空気と明るい青空が広がったが、強い北風が残り今日も守る会のボ ランティア活動は中止だった。
閉まったままのテント 要注意ワイヤ
今日は閉まったままのテント 触ると危ないワイヤーを表示
何者かがいたずらしたのだろうか。観察路の一部のワイヤーから針金がささくれだって飛び出していた。子供 でも握って手を滑らせたら怪我をしてしまう。
数ヶ所そんな所が見つかり色々修理をしてみたが短い鋼鉄は切っても曲げてもうまくいかず結局厚いテープで 応急処理をして、触らないよう注意喚起するより仕方なかった。

悲しいサクラソウ
傷ついたサクラソウ 裂片が千切れたサクラソウ
左の写真の花は泣きべそをかいているように見えるし、上の2枚は可哀相にそれぞれ花びらが千切れています。
サクラソウはアチコチで花を開き始め、3月28日一番最初に花が見られた荒木田土掘削跡の南面のサクラソウ群落は花がだいぶ増え た。
でも早くから咲いて楽しませてくれた花は昨日の強風雨ですっかり傷ついてアップで見ると満身創痍でボロボ ロだった。早春に咲く花の厳しさだ。サクラソウの花言葉「若い時代の苦悩・悲しみ」もこんな春の嵐に会いやすい事からだろうか。

「あの黄色いのは何ですか?」極端な人になると「サクラソウって黄色なんですか」と言われる。将に現在の サクラソウ自生地の主人公はノウ ルシだ。
サクラソウと同時期に咲いてサクラソウより高さがあり、根も太くて頑丈だ。どう見てもサクラソウに勝ち目 はない。特別天然記念物の名のもとに増え続けているのがノウルシだが、サクラソウと同じ準絶滅危惧種だ。
ノウルシ 蕾を付けた桜草
すべてがこちらを向いているノウルシ たくさんの蕾が早く花開いて欲しい
ノウルシが一面に黄色を強くし始めたが陽に向かって咲くのを今日初めて気がついた。カメラを向けたら全部 同じ方向を向いていたのには一瞬ドキッととした。

レンギョウ
第2自生地の周囲のモクセイ科のレンギョウが黄色い花をいっぱいにつけている。その上に枝を広げるソメイヨシノにやっと白い花 が見られ始めた。まだ1分咲きくらいだがこのままいけば来週あたりはサクラソウと桜の花の競演が見られそうだ。
第1自生地周囲にはジロボウエンゴサクの小さな株と花が見られ、第2駐車場際には白花のホトケノザが咲いて いた。
自生地の奥のクヌギ林を縄張りにしている雌のモズが鴨川べりの木の枝で頻りに地面の獲物を狙っていた。羽 化したばかりのようなモンシロチョウも見られた。
何かを見つけたモズ 白花ホトケノザ 羽化したばかりの蝶
何かを見つけたモズ 白花ホトケノザ 羽化したばかりのチョウ

志木街道の堤防では2人の女性が一生懸命野草を採っていた。最初はヨモギだったが、しばらくして尋ねるとノ ビル掘りに変わっていて袋の中には思ったより大きなノビルがたくさんあった。
おひたしにしたり、酢味噌で食べたりして春の香りを楽しむという。原発騒動で春の野草も手放しでは喜べな い今年だが、あまり神経質になり過ぎない事も必要だ。

清明(せいめい):春うららかに万物清明の季節というが始まりの4日は前日の名残りで、北風が冷たく吹き荒れ た。七十二候の第十三候は玄鳥(つばめ)至る。第十四候鴻雁北(かえ)るで渡り鳥が次々と帰って行くこの頃の空は曇りがちで鳥曇り という。第十五項は虹始めて見る。