二十四節気の穀雨に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

やっと一輪咲いた白花はたった一日の命でした

2012年4月20日(金)

さくらそう水門
堤防上から俯瞰したA区のサクラソウの群落が例年に比べてもう一つピンクがはっきりしない。
初咲きが28日と前前年より14日も遅く自生地の植物は全体的に成長が遅いが、オギやヨシが伸びてサクラソウ がスダレ越しにしか見られない所が増えてきた。
手前のサクラソウの群落はノウルシの高さに負けて、オギやヨシの葉のスダレ越しになってきました。
桜草公園では22日のさくら草まつり’12の準備が始まっていた。予報では22日は少しづつ降り始めが遅くはな ってはいるが、今日も曇天で祭りの前のわくわく感がチョット少ない。

昨日やっと一輪咲いた白花サクラソウの花が無くなっていた。よく見ると真下に落とされている。咲いたばか りで自然に落ちよう筈も無く、桜の花のように鳥が原因とも、虫とも考えられず、確実に人の仕業と思われるのは本当に残念だ。
でも向かい側の蕾がお昼頃には完全に開いたのは嬉しかった。中の方では2〜3ヶ所咲いている株があるが、肉 眼で観察できるのはこの2株だけに多くの花を付けていって欲しい。
白花サクラソウ 落とされた白花
1輪咲いた白花サクラソウ 4月19日撮影 蕾の下に昨日咲いた花が落ちています

サクラソウの刮ハ
18日にNHKで田島ケ原サクラソウ自生地が放映されたのを見てきたという人が多く、その群落が何処にあるの か尋ねる方もいて、カメラマンの腕の良さをほめるより仕方なかったが、比較的見易い群落や裂片数の違う花などを紹介しながら自 生地の特殊性をご理解いただいた。
今年初めて見られたサクラソウの刮ハ。飛び出しているのが雌しべで根元に半球形の刮ハが付いています。無 事に種子ができる事を祈ります。
サクラソウは花の色や形など遺伝的変異の多いのが特徴だが、裂片の数は遺伝的なものではない。それは同じ 株で一つだけ枚数が違う事で分かる。
4裂片サクラソウ 6裂片サクラソウ 7裂片サクラソウ
4裂片の花は4つ葉のクローバー? 6裂片の隣は正規の5裂片 7裂片のサクラソウ

切り倒したクヌギの周りに切れ込みのある葉をこんもりと茂らせている塊が結構あった。聞けばシソ科のメハ ジキ(目弾き)という。ほとんど線状になる茎葉とはあまり似ないが、今の葉は花期には枯れる根生葉なのだろう。
近くには ヤブガラシが赤い芽を出し、 ヒルガオの伸び始めた若い芽もあった。やはりこうした撹乱された所には色々な芽生えが見られる。
メハジキの幼葉 メハジキ
メハジキの芽生え メハジキ 10年7月27日撮影
ヒルガオの幼葉 ヒルガオキ
ヒルガオの芽生え ヒルガオ 10年7月7日撮影
ヤブガラシの若芽 ヤブガラシ
ヤブガラシの芽生え ヤブガラシ 10年6月27日撮影

カヤツリグサ科のアゼスゲ(畔菅)が花穂を付け上の雄性の小穂も下の雌性の小穂もすでに成熟しているようだ が、トダスゲはようやく小穂を伸ばし始めたばかりだ。
アマドコロ が全自生地で花の季節を迎え、シダ植物のコウヤワラビも見られたが、去年までは見なかった植物のような気がする。
コウヤワラビ アマドコロ
オシダ科のコウヤワラビ 花期を迎えているユリ科のアマドコロ

穀雨(こくう):穀物に恵みの雨の季節というが、昨年は乾燥し切ってようやく19日に恵みの雨だったが今年は 乾燥化に悩む事はなかった。七十二候の第十六候は葦始めて生ず。第十七候霜止みて苗生ず。第十八項牡丹華(はなさ)く。