二十四節気の立夏に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
自生地は中央の観察路付近を中心に水没していました
2012年5月5日(土)
2012年の立夏(5月5日)は3日続きの雨の後で朝から青空が広がった。
6時30分頃自生地に着いたのでバラモンギクが咲いているのではと旧志木街道の土手に上がってみたが、2〜3
株しか無くて期待はずれだった。ヤマグワが若葉を茂らせ多くの実を付けていた。
北観察路と交差した中央付近から先が一番低くなっているようで、観察路際に花の盛りを迎えていたムラサ
キサギゴケは完全に水没です。
中央観察路に入ろうとして驚いた。駐車場側の入口近くまで張り出した水が静かに朝日に輝いていた。
特別天然記念物の碑はもう4分の1くらいはオギなどに隠されてしまっている。
長靴をはいていったが、取敢えずB区の駐車場側を見て行くとセリ科のハナウドが白い花をつけ始めていて、柵
際はヨシが比較的大きく背を伸ばしていた。
公園に近いヨシやオギの少ない所にキョウチクトウ科の
チョウジソウが花開いていた。株数も多く近くで見る事ができる観察ポイントだ。
公園側からの北観察路は
中央付近が大きく水没
していた。南観察路からのぞいた
中央観察路も流れの止まった小川
状だった。オギなどが伸び始めているE区の荒木田土掘削跡も池状になっていた。
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外側の花、その外側の花弁も大きいハナウド |
花の形が丁字なのが名の由来のチョウジソウ |
オギやよしそして
ノカラマツが伸び始め、あれほど全盛を誇った
ノウルシも今はそれらに埋もれるようにして
面白い刮ハを付けているだけだけだった。
オギの群生地は濃緑色で、ヨシは高く若草色の葉を伸ばし、その下にはノカラマツなどが生育している。面積
からすると圧倒的にオギが増えているようでやはり乾燥化の進行が心配だ。
オギはイネ科ススキ属でススキによく似るが、株は作らずススキより小穂につく銀白色の毛が長く湿地に群生
する。同じイネ科のヨシはヨシ属で葦、葭、蘆とも表記される大型の多年草。河岸や池沼などの水湿地に群生し、オギよりより水湿
地に生育する。
すっかり埋もれてしまった
サクラソウは雨に傷ついた姿が多く見られ、花を落としているのも多かった。根元
から落ちた花の後には子房と雌しべが残っている。まさに合弁花ならではの姿だ。
左右の花の花筒は僅かについているようですが、下の花は細い雌しべの花柱だけで花が落ちずに支えられて
いるようです。
たまたま撮った花が長花柱花と短花柱花だったが両株とも花が落ちた後には長い雌しべと子房が残っている。
「刮ハがこんなについている」と思ったが、この段階ではまだ受粉しているのか否かは定かではなさそうで、
今後の観察が必要だ。
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目の中に糸くずのような葯が見える短花柱花 |
ピンの頭の様な柱頭が外に伸びている長花柱花 |
ユリ科の
ア
マドコロがかなり少なくなったように感じたが、トダスゲは果胞が大きくなっていた。
長靴を履いていったのはよかったが水が入って来てしまった。見ると長靴の継ぎ目の部分から気泡が上がって
いて役に立たず、何とも締まらない立夏の観察日だった。
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花被片が合着しているアマドコロ |
ヒメウラナミジャノメ |
果胞が大きくなったトダスゲ |
立夏(りっか):夏の始まりの節気は水没したサクラソウ自生地と青空で明けました。七十二候の第十九候は蛙
始めて鳴く。第二十候 蚯蚓(みみず)出る。第二十一項は竹の子生ず。でいよいよ多くの生き物の鼓動が聞こえる季節です。