二十四節気の大暑に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

オニユリが花盛りでバアソブの花も見られます

2012年7月22日(日)

メマツヨイグサ
厚い雲に覆われた7月22日大暑の朝はかすかに霧雨がぱらついていた。7時近くなのに旧志木街道の土手には花開 いているメマツヨイグサも見られた。
アカバナ科は日本では5属28種が知られ、ミズタマソウ属以外は花は4数性、果実は刮ハで種子は多数。マツヨイ グサ属のすべての種類約80種はアメリカ大陸に分布し、その内の14種が日本に帰化しているという。メマツヨイグサは1920年代に渡来 したとされる。要注意外来生物。
電線でカワラヒワが何やらさんざめいていたので、めいっぱい望遠を効かせて撮ってみたが、あまり明るくなか ったせいか、どれも手ぶれして様子が分からず残念だった。

オニユリ
オニユリの若い茎 オニユリの珠芽
オニユリの若い個体 12年6月5日 オニユリの特徴の珠芽(ムカゴ)
オニユリが自生地の全域で大きな橙赤色の花を咲かせていたが、この2〜3年で爆発的に増えた気がする。
オニユリは5〜8pの鱗茎が食用になるため栽培され、それが野生化したようだ。若い茎の上部には綿毛があり、 花は大きな艶のある暗紫色の葯を付けるが結実はしない。
日本のユリでは唯一葉腋に珠芽(ムカゴ)を付けるのでコオニユリとの見分けにもなる。黒紫色の珠芽は後に落ち て発芽する。
ヒルガオもいよいよわが世の夏を迎え特に倒伏地ではたくさんの大きな薄紅色の花を咲かせている。

大きな厚い葉の下にはシオデの面白い花が随所で見られるが、線形の白い雄しべを立てた雄花が多い感じだ。ウ マノスズクサもたくさんの小さなサキソフォンをつけている。花を付けているのは1ヶ所だけだが今年はアチコチで株が見られ楽しみ だ。
バアソブ シロバナサクラタデ
円内は名の由来のソブ(そばかす)が分かります 円内のアップした花もすべて雄しべの長い雄花です
バアソブは中央観察路のA区の真中あたりに小さな釣鐘型の花をつけ初め、蕾もビックリするほどたくさんつけている。
シロバナサクラタデが白い花穂をたわませているのが目立ち始めた。雌雄異株で自生地には雄しべの長い雄株が圧倒的だ。

コバギボウシが2茎だけ伸び出して花をつけ、鴨川べりではキクイモが1輪咲き始め、キンミズヒキが花穂の先端 を鮮黄色に染めて1茎だけ飛びぬけていた。どれももこれからの繁茂の前触れだ。
コバギボウシ キクイモ キンミズヒキ
蕾が擬宝珠に似るコバギボウシ キク科ヒマワリ属のキクイモ バラ科のキンミズヒキ
ヌマトラノオがいつもの観察路脇に白い花穂を立ていた。自生地のオカトラノオ属で自然交雑していないのはこ のヌマトラノオだけの気がする。雌雄異株のヤマノイモも小さな雄花穂を立てていた。
観察路の両縁側には所々 ユウガギクが白い花を揺らせていて秋への長い序章を奏で始めた。
ヌマトラノオ ヤマノイモ ユウガギク
ヌマトラノオの直立した花穂 ヤマノイモの雄花穂は直立します 息長く咲き継ぐユウガギク
ノカンゾウの痩果が2ヶ所で見られた。普通結実しないと書いている図鑑があるが、結構例外が多そうだ。
トモエソウは大きな円錐形のオトギリソウは黒線の多い刮ハをいずれもたくさん付けていた。
サクラソウが茎まで茶色の枯姿に変わっていた。
ノカンゾウ オトギリソウ サクラソウ
ノカンゾウの痩果は上から3裂する オトギリソウの痩果は黒線が多い まったく枯れてしまったサクラソウ

去年切り倒されたクヌギの周囲で、今年初めて芽生えたメハジキはヨシを追い越すくらいの勢いで育って いたが、今日も花の気配すらなかった。
自転車道迂回路のメハジキは19日には花の真っ盛りだったので期待したが、まったく意外で拍子抜けだった。
たくさんある株のどれもが花には無縁のように大きく伸び、葉だけをいっぱいに付けていた。花をつけない種類 というのがあるのだろうか?

大暑(たいしょ):今年の大暑は曇天で気温はあまり上がらなかったが、この日からが夏の暑さ本番。鰻を食べて乗 りきる土用の時期でもあるが、今年は鰻が高騰して庶民には無縁のようだ。
第三十四候 桐始めて花を結ぶ。第三十五候 土潤うてむし暑し。第三十六候 大雨時行る(たいうときどきふる)、大地を潤す夕 立の季節。