二十四節気の立秋に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

有明の月が残る立秋の朝は久し振りに爽やかでした

2012年8月7日(火)

中央観察路
2012年8月7日の立秋の朝はさすがにさわやかで、空には有明の月が残り一点の雲も無い青空が広がっていた。で も、まったくの無風だったせいか富士山は見られませんでした。
昨日の局地的な強い雨のせいもあって駐車場側からの中央観察路はオギやヨシが倒れ込み先が見えない状態でし た。オギなどをを起こしたり露払い兼用の棒を旧志木街道の堤防上で調達してから観察路に入りました。
自生地の観察路はオギやヨシが倒れ込んで先が見えなくなっている所が結構あったが、サクラソウが地上部を枯 らして来春への充電期間に入った今の時期は、なるべく自然のままがいいのかも知れない。

コバギボウシ
コバギボウシ 花粉をなめるハナアブ
下向きに花を付けるコバギボウシ 小さすぎて受粉効果は無理?
ヒルガオが自生地全域で薄紅色の大きな花を咲かせているが、何といっても今の時期の自生地の主役は コバギボウシだ。
E区の群生を最初に見た時にはあまり咲いていないような気がしたが、コバギボウシは早朝には花開く一日花だ。8時 半近くには小さな花アブが雌しべにとまって葯をなめているのも見られた。でも、鴨川沿いなど例年咲いている所では開花しているの は見られず、時期的には少し早いのかもしれない。

ミズタマソウ も今が旬の時期かもしれない。小さな花なので肉眼ではあまり面白みがないが、ルーペで見たりパソコンで拡大すると2数性の面白 い花が観察できる。
コカモメヅル の小さな花が観察路際のアチコチで見られる。本来は昼前には閉じてしまうが、まれに午後でも咲いている事があるが、とにかく 小さいのでよく見ないと見落としてしまう。
ミズタマソウ コカモメヅル
2個の花弁が2裂するアカバナ科のミズタマソウ 花冠の喉に副花冠があるガガイモ科のコカモメヅル
ヌマトラノオ の株が増えて小さい花穂を立て、シロネが葉腋に小さな白花を咲かせているのも見られたが、バアソブは芽生えの時に比べて意外 に少なく、やっと2ヶ所で見ただけだった。
ヌマトラノオ シロネ
埼玉カテゴリーでは準絶滅危惧(NT)のヌマトラノオ 太くて白い地下茎があるシソ科のシロネ

ロンドンオリンピックが11日目を迎え、ヒートアップしているが日本のテーマソングを歌っている「いきものが かり」に因んで、あまり珍しくはないが今朝自生地で出会った生き物をあげてみる。
やはり多いのは羽化したばかりのアブラゼミだ。長い地中生活にまとっていた空蝉がアチコチで見られ、まだ飛 び慣れない蝉は方向も定まらずぶつかってくるのもある。午後にはミンミンゼミの声を今年初めて聞いたが、温暖化の影響で聞かれる ようになったクマゼミの無機質な鳴き声は苦手だ。
人為的に放蝶された中国産のチョウで関東で増えていると言われるアカボシゴマダラが見られ、キタテハ、キチ ョウも見られた。ハナアブは小さいのから各種、マメコガネは相変わらず交尾しているのをはじめ多数見られた。
アブラゼミ ホオジロ クマゼミ
数では多いアブラゼミ クヌギの天辺で囀るホオジロ 途中の鴻沼川でうるさいクマゼミ
アカボシゴマダラ キタテハ キチョウ
放蝶されたというアカボシゴマダラ カナムグラが食草のキタテハ 正確にはキタキチョウでしょうか
ハナアブ ナガコガネグモの幼体 マメコガネ
ハナアブ科の昆虫の一種 ナガコガネグモの幼体のかくれ帯 繁殖力旺盛なマメコガネ
去年切り倒されたクヌギの周囲で今年初めて芽生え大きく育っているメハジキ達は花を付けるそぶりさえ無く青 空に伸びていた。

立秋(りっしゅう):今年の立秋はロンドンオリンピックの最中で日本列島はヒートアップ。むし暑い日々が続いて いる。
第三十七候 涼風(すずかぜ)至る。第三十八候 家蝉(ひぐらし)鳴く。第三十九候 ふかき霧昇降(まとう)、時に濃い霧が舞い降 りる。