二十四節気の寒露に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

観察路でヨシやオギの露時雨が冷たく降りかかりました

2012年10月8日(月)

オギの白穂とさくらそう水門
サクラソウ自生地はオギやヨシの白い穂に覆われすっかり秋化粧で、脚元の土手ではススキが株を作ってこちらも 穂を伸ばしていた。
寒露の今日は6時半頃自生地に着いたが、体育の日の休日だった事もあり駐車場にはもう4〜5台の車が入っていた。
寒露の名にふさわしく観察路に覆いかぶさったヨシやオギはいっぱいに露を含み、露時雨のように降りかかってきた。 でも夏から秋にかけての早朝の自生地では露払い棒はクモの巣を払うにも必携なのであまり濡れないで済んだ。

観察路の両側にはユウガギクが白い花を咲かせていたが例年より遅いようだった。チカラシバは露を含んで陽を受けると別人のように 白く輝く。キンミズヒキは相変わらず観察路のやんちゃ娘だ。フウロソウ科のゲンノショウコも数輪見られた。
ゲンノショウコ白花 チカラシバ ゲンノショウコ赤花
ゲンノショウコ白花 チカラシバ ゲンノショウコ赤花
ゲンノショウコはフウロソウ科フウロソウ属の多年草。関東には白花、関西には赤花が自生するが、小石川植物 園では実験圃から逃げ出した赤花が入口正面の芝生に見られる。上の写真は10月10日に撮影したもの。
フウロソウ属の刮ハは熟すと5裂し裂片が巻き上がるが、明るい野原などではアメリカフウロの特徴のある刮ハが 普通に見られる。

カナムグラの雄花序が全域で見られ、露をいっぱいに付けて被写体としては絶好だったがナカナカ上手くは撮れ なかった。普通は少し揺らすと黄色い花粉を飛ばすが、さすがに今朝は無理だった。そろそろ雌花の登場を待ちかねているようだ。
ユウガギク タカアザミにツマグロヒョウモン
例年よりは遅いユウガギク タカアザミにツマグロヒョウモン
レモンエゴマ ヤブマメ
鴨川縁に群生するレモンエゴマ 秋のマメ科3兄弟の真打ちのヤブマメ
レモンエゴマやコメナモミが見られるようになりアキノウナギツカミやサクラタデが群生し始めている。ツルマメの花は完全に見られなくなり、ヤ ブツルアズキもほとんどが長い豆果だ。秋のマメ科3兄弟の一番最後に登場するヤブマメの薄紫の花が見られるようになった。
鴨川縁のタカアザミは花が終わりかけているのも多いが、たくさんの頭花を下向きに付けている。ツマグロヒョウモン が来ていたがこの頃キク科の花によく見られる蝶だ。

ノブドウ
スズメウリ オキクムシ
左はノブドウの6〜7oの液果。左上は15mmくらいのスズメウリの液果、まだ緑色の実も見えます。右上はジャコウアゲハ の蛹のお菊虫
ノブドウが白い実を多くつけていた。液果は食べられず熟すと光沢のある青や紫色になるが、ノブドウミタマバエ などの幼虫が入り込んで虫こぶとなることが多く、きれいに見られる事は少ない。花の形や平らに花序を広げるのはブドウなどより ヤブガラシの方に似ている。
最初は緑色で熟すと白くなり、ノブドウより大きく長い柄の先につくスズメウリの実も見られ始めた。
ジャコウアゲハの蛹のお菊虫が久し振りに見られた。この時期の蛹は暖地では羽化するようだが、さいたま市 ではどうなのだろう。まだ冬越しするには早いと思うし興味深い所だ。

寒露(かんろ):10月8日頃。虫の音も次第に穏やかになり、露が冷たく感じられる頃。今朝の自生地はまさにそれで、 冷い露が大歓迎してくれました。
第四十九候 鴻雁来る。日ごとに寒さが増し冬鳥が渡って来る。第五十候 菊の花開く。第五十一候 キリギリス戸に在り。 こおろぎが戸口で鳴く。実際はもう終盤。