二十四節気の大雪に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
コカモメヅルが旅立ちの時を迎えていました
2012年12月7日(金)
2012年12月7日の大雪(たいせつ)は今冬一の冷え込みの予報だったが、7時30分頃の自生地は青空が広がりほとんど
無風だったのであまり寒くは感じなかった。
オギの穂は一層水分の抜けた白色になり、痩せた茎だけが目立ち、まったく埋もれていた特別天然記念物の石碑が
ハッキリ見えるようになった。観察路はユウガギクの花が無くなって、褐色の枯植物の中でセンニンソウだけが緑の葉を茂らせている。
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一時はまったく見えなかった石碑も見えます |
センニンソウだけが艶のある緑を茂らせています |
生き物の気配は感じられなくなり、あれほど多かったジョロウグモも一匹も見られなくなり、もちろん大きく張ら
れていたクモの巣もなくなった。卵を産み終わり世代を受け継いで半年の生涯を終えたようだ。
左の写真はE区のクヌギ。左上のトモエソウは上を向いた刮ハの中に未だ種子を宿しているようです。右上はオギ
の毛にとりつかれたカナムグラ。
ほとんど黒色に見えるツルマメの殻や大きなアキノノゲシの立ち姿などは全域で見られる。つる植物のトリを飾る
カナムグラもすっかり黒褐色に変色している。
一部で多かったノブドウはほとんど見られず、スズメウリは中の種子が透けて見えるようになった。無機色の中
でヘクソカズラの艶のある実だけが目立っていた。
ガガイモ科のコカモメヅルは長さ3〜4pの先のとがった細い円錐形の袋果を左右につける。、絹糸状の冠毛(種髪)
をつけた種子が中に整然と詰まり、熟すと裂開して種子を風で運んでいく。
最初に探したときは種子を飛ばし終わって裂開した袋果だけしか見られなかったが、帰り際には風に種髪をなびかせ、
まさに旅立ちの時を迎えている姿が見られた。
コカモメヅルはガガイモ科のカモメヅルの中で一番花も実も小さい。種子は扁平な楕円形で先端に種髪をつけ風に
乗って散布されるのはガガイモ科の共通項。右は既に種子をすべて飛ばし終わり袋果の内側が見える。
センニンソウは3pにも伸びた雌しべの花柱に多くの羽状の毛が生えて痩果を風に乗せて散布する。この長い花柱
を仙人の白髪やひげなどにたとえたともいわれる。
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センニンソウの痩果は長さ約7oで花柱は3p |
ノコンギクの痩果は半分以上が飛び立ったようです |
シオン属のノコンギクは2oくらいの扁平な楕円形の痩果を、長さ約5oの長い冠毛が風で運んでいく。ユウガギク
などのヨメナ属の短い冠毛に比べると遠くまで運ばれ分布域が広くなりそうな気がするが現実はそうでもなさそうだ。
マユミはニシキギ科の落葉小高木で雌雄異株。刮ハは約1p くらいの4角形で熟すと4つに裂けて赤い仮種皮に包ま
れた種子を出す。枝が丈夫でしなうので弓を作ったのが名の由来という。
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円内は刮ハから覗く仮種皮に包まれた種子 |
ハンノキの葉は枯れて花が終った頃若葉がつく |
ハンノキ(榛の木)はカバノキ科の落葉高木。別名ハリノキ。サラミのような雄花序を吊る下げその根元近くには
小さな雌花序をつけている。芽鱗に包まれないのはハンノキ亜属の共通の特色という。花は1月〜2月の暖かい日に開花する。
大雪(たいせつ):12月7日頃、寒さが本格的になり自然界が霜枯れし始めるのが大雪の頃。日本海側では大雪が降
り易くなるが、関東は晴れの日が多い。
第六十一候 閉寒(そらさむく)冬と成る。第六十二候 熊穴に蟄(こも)る。第六十三候
鮭の魚群がる。