二十四節気の小満に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
前日の恵みの雨で生き返り今日は気温が上がりました
2013年5月21日(火)
前日から今日の未明まで降り続いた小ぬか雨は乾燥しきった自生地には恵みの雨だった。今日は気温が30℃近くまで上がり、草木が勢
いよく生長するという小満ぴったりの天候になった。
自生地はオギやヨシがますます生長し、特別天然記念物の石碑は頭だけしか見えなくなった。
レンリソウは最後の蕾が花開き、
ハナムグラが小さな花をつけ始めた。
キツネアザミが中央付近で多くの花をつけ、鴨川側ではノアザミも見られた。
ハナムグラは絶滅危惧U類(VU)、分布は本州特に中部・関東という。
よく似た名前のハナヤエムグラはヨーロッパ原産の1〜2年草。
茎は地際から叢生し長さ20〜60p、下向きの刺がある。4〜8月に苞葉に包まれた数花をつける。花径約3o、淡紅色または淡紫色で雄しべ4、雌しべ1で子房は2室。
1961年に千葉県習志野市で採集された。
19日には小さな白緑色の花を満艦飾につけていたマユミはそろそろ盛りを過ぎて赤みを帯びた花が多く見られるようになった。その上
の方のエビヅルはもう小さな実をつけているようだ。
エビヅルの和名は若い葉と茎の毛をえびの色に見立てたという。ヤマブドウより全体に小さい。葉と対生して円錐花序をだし淡黄緑色
の花を開く。雌雄異株。花柄にはしばしば巻きひげがつき、花弁5個は開花と同時に落ちる
ユリ科の
シオデの若芽はアスパラ
そっくりの味でおいしいというが形もそっくりだ。今年はシオデの当たり年のようで自生地のみならず荒川河川敷でも多く見られる。
ノアザミは最も普通に見られるアザミで春から夏に咲く。総苞は粘る。花を刺激すると花糸が縮んで花粉をところてん式に押し出す。
朝などによく見ると雄しべの先に白い花粉が出ているのが観察できる。
鴨川べりではサイカチが花の時期を迎え長い穂状花序に小さな花を咲かせている。
サイカチはマメ科の落葉高木で
雌雄同株。雄花、雌花、両性花をつける。「同一個体を観察した結果、雄花のみの年、雌花名のみの年、両方とも咲く年があるのがわかった」(樹に咲く花
山渓ハンディ図鑑)とありちょっと面白い。
そして1pくらいの種子にはサイカチマメゾウムシの幼虫が寄生すると云う。面白いのはこの種子は表面が硬いためそのままでは発芽
できず、幼虫が寄生の為に種子に穴を開けた時に多くの雨が降ると水分を吸収し発芽すると云う。この場合は幼虫は溺れ死に、そうでない場合は内部を食い
尽くし成虫になるのだと言う。
日本の固有種で万葉集にも
p莢に延ひおほとれる屎葛絶ゆることなく宮仕せむ 高宮王(第十六巻 3855)
の和歌がある。
p莢(そうきょう)がサイカチ、屎葛はヘクソカズラ
小満(しょうまん):5月21日頃、2013年5月21日の小満は昨日からの雨が未明まで降り続き、観察路はぬかっていたが植物たちには恵み
の雨だった。