二十四節気の処暑に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

コバギボウシにホウジャクが忙しく飛び回っていました

2014年8月23日(土)

コバギボウシのホウジャク
処暑の朝は珍しく爽やかで、日中も久しぶりにクーラーなしで過ごせた。
でも、20日未明に起きた広島の土砂災害はその後も断続的に雨が降り続き、救助活動が一時中止されたりして、死者、 不明者は87名に上ると報道されている。
自生地ではコバギボウシが全域 で淡紫色の花を咲かせ、ホウジャクが忙しく飛び回っていた。ホウジャク(蜂雀)はスズメガの一種で昼間に活動する。4枚の小さな羽を高速で 羽ばたかせて、ホバリングしながら吸蜜する時は盗蜜になりそうだ。
昼行性の蛾で、容姿が蜂に似ることからホウジャク(蜂雀)と呼ばれる。棍棒状の触角を持つ。全身は褐色だが、後翅に 黄色い模様が入る。(Wikipedia)
コバギボウシは従来はユリ科に分類されているがDNA解析をもとにしたAPG分類体系ではクサスギカズラ科またはキジカクシ科 またはアスパラガス科に変更されている。クサスギカズラは草杉蔓で海岸に生育する多年草で葉が杉に似ている事から。キジカクシは雉隠しで 草地に生える多年草、繁茂した葉で雉をも隠すというのが名の由来。両種ともアスバラガス属

いよいよセンニンソウの白い十字状花が見られるようになり、たくさんの蕾を付けている。白く花弁に見えるのは萼で、 雄しべは多数、雌しべも数個ある。
汁が皮膚につくとかぶれる有毒植物で、ウシノハコボレやウマクワズの別名もある。
センニンソウ ヘクソカズラ
キンポウゲ科のセンニンソウ(仙人草) アカネ科のヘクソカズラ(屁糞蔓)
ヘクソカズラは本当に気の毒な名前だが、この異臭は自衛のためだったという。
茎や葉が傷つくと細胞内に蓄えた「ペデロシド」が分解して悪臭を放つガスを発生させ、悪い虫を追い払う武器にした ようだ。ところがこの悪臭をものともしないアブラムシも現れたというから世の中ままならない。

ツルフジバカマ、メハジキ、シロネが一部で花を咲かせ、キクイモが大きな花をつけ始めた。ユウガギクはまだチラホラだ。 フジバカマはまだ花は少ない。
ツルフジバカマ メハジキ シロネ
ツルフジバカマ メハジキ シロネ

一時晴れて暑くなったが、一通り観察を終えた7時15分頃にはまた雲が多くなって涼しくなり、いつも作業をしている 河川敷の原野に行って、約1時間オオブタクサを抜いた。
まっすぐ伸びていれば2.5メートルくらいまでのオオブタクサは比較的簡単に抜ける。でも何らかの原因で折れ曲がって 斜上しているのは始末が悪い。必ず途中で上下左右に方向を変えていて折れやすく、しかも繁殖戦略を優先させている。
曲がり方を見極めて根元を確認するにはヤブガラシなどのつる草を除かねばならず、どうしても荒くなる。結果、もう黄色 く色づいた花穂を揺らし、花粉が飛んで花粉症気味だ。
シムラニンジン
オオブタクサ
上は「一本の大きなオオブタクサとその周りに生えた早熟のオオブタクサたちの花穂」と思いきや、なんと 折れ曲がった太い一本のオオブタクサから枝分かれした多くの花穂達でした。
左は観察し続けてきたシムラニンジン。最初に花をつけた花序はすでに 実を落とし、熟した実をつけた花序、若い実をつけた花序、新しく花を咲かせた花序と大家族構成です。

処暑(しょしょ):8月23日頃。処暑とはようやく朝夕に秋の気配を感じ始める頃といわれるが、今年ほどそれがハッキリ 現れた年も稀だろう。朝も爽やかだったが、日中も8月に入って初めてクーラーなしで過ごせた。