二十四節気の小雪に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
植物たちが次世代へのバトンタッチを開始していました
2014年11月22日(土)
2014年の小雪(しょうせつ)は青空が広がり風もなく暖かい陽射しがふり注ぎ、11月22日のゴロに合わせた「いい夫婦の日」
の方がピッタリの小春日和の一日だった。
桜草公園では桜がキレイに紅葉していたが、自生地はますます枯れ色の世界が進み、植物たちは次世代へのバトンタッチ
の備えを始めていた。
志木街道から俯瞰したサクラソウ自生地はますます枯葉色の世界で、細くなった白いオギの穂が目立つようになりました。
今までオギの中で姿が見えなかった特別天然記念物石碑も見えるようになり、観察路を歩いても緑色は所々に群生しているセンニンソウの他は
全く見られなくなりました。
観察路の両側を彩っていたユウガギクは花は全く見られなくなり、痩果を飛ばし終わったものも多く見られた。
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まだ痩果はすべてついているユウガギクの頭果 |
半分くらい痩果を飛ばし終わっているユウガギク |
カナムグラも雌花の苞葉は赤褐色から黒褐色に変わり、すでに痩果を出し終わったものが多かったが、苞に包まれた痩果は凸部の付いた球形で
約4o、薄い果皮に包まれている。苞葉が密集していた雌花序は痩果を落として間延びしたように見える。
上は直径約4.5oのカナムグラの痩果。1個の種子が薄い果皮に包まれている。右はカナムグラの花序、苞葉が破れて痩果が顔を出して
いる。
コバギボウシの枯れ姿をよく見ると黒い果実が残っているものが多くあった。
果実は熟すと下の方から3裂し、中には黒色で扁平、長楕円形の痩果が普通6個入っている。痩果は長さ約2.5pで翼があり
約1pの種子は風に運ばれる。
右はコバギボウシの果実を包んだ莢を開いた写真、仕切りを挟んだ黒い点にそれぞれ痩果が付いている。下の痩果は右端
に種子があり、左側が翼になっている。
オギの果穂はかなり痩せてきたが、風で飛ばした小穂が
キンミズヒキや
コメナモミの痩果の刺や腺毛
に付いているのが多く見られる。
キンミズヒキ達にとってみれば、自分が他の動物に付いて運ばれるはずの刺などに付かれて大迷惑だろうが、一緒に連れて
いくより他あるまい。
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キンミズヒキの種子は萼筒に包まれ刺は副萼片が変化 |
腺毛が密生した長くて開出した総苞片は絶好の止まり木 |
アキノウナギツカミも果実のシーズンを迎えて地味な花が一層枯れて、フジバカマはすでに種子を飛ばし終わった総苞片が
花びらのように見え、風待ちの冠毛がまだまだ多く見られる。
アキノウナギツカミの果実を包んだ花被は普通は赤みを増すが、今回は緑色の花被に包まれている
のが目立った。若い花被なのだろうか。
円内は右の果実のアップ。
小雪(しょうせつ):学校で「こゆき」とよんでしまい失笑を買ったという話を読んだが、意味するところは根雪にならない
ほどの雪が降る季節で、こゆきの季節と言っても意味の上からは何ら問題は無い。日本語は難しいの一例だろう。