二十四節気の雨水に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
雨上がりのサクラソウ自生地は暖かく晴れ渡りました
2015年2月19日(木)
春節(旧暦の中国の正月)の元日と重なった今年の雨水は、中国から大挙押し寄せたショッピング客が報じられていたが、どの
顔も幸せそうで対日感情の悪さなどは少しも感じられなかった。
自生地は幾分ぬかるみ加減の所もあったが、気温は12℃くらいまで上がり、雪が雨に変わり氷が水に変わるという雨水その
ものの暖かさで、昨日の雨もあり若芽たちは元気だった。
その中でも早秋の使者のフキノトウはノウルシやアマナなどを従えて大きな若緑色の塊になり、苞を広げ始めていた。
フキノトウ(蕗の薹)はキク科のフキの苞に包まれた花茎の事で、春一番の山菜。葉に先立って伸びる。
フキ(Petasites japonicus)は山野に生える雌雄異株の多年草。長い地下茎を出して繁殖する。葉が出る前に花茎を
伸ばし散房状に頭花をつける。花茎には平行脈の目立つ鱗状苞が多数つく。雄株の頭花は黄白色ですべて両性の筒状花だが結実せず、花柱は棍棒状。
雌花は白色で花柱は糸状。雌雄花ともに冠毛がある。雌株では花後茎が伸びだし約30pになるが雄株は間もなく枯れる。
やはり
ノウルシが勢力も成長
も著しい(上の写真は一番生長の早いノウルシ)。
一番に花開く
アマナはまだ目立た
ない一本だけの赤っぽい緑の葉をニョキニョキ立てている。何も無さそうな所でも目を凝らすとアマナが芽生え始めていて全域で見られる。
ノカンゾウも明るい緑色の
群落を作っている。花は初夏の頃につけるが、芽生えは毎年早い。若葉を根元から掘り出し白い部分や柔らかい葉はサッと茹でて水にさらすと
和え物、酢の物、おひたしなどで美味しく食べられるという。
メインのく
サクラソウはまだ
まだ小さく群生も少ない。負けずに頑張れサクラソウ!のエールを送りたい。
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ガラス細工のようなノカラマツの若芽 |
ケシ科のジロボウエンゴサクの若芽 |
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若葉はサッと茹でて食用になるノカンゾウ |
まだ一本刀のアマナの若芽は先が赤い |
この日は午後からさいたま市民園芸講座の「さくら草の育て方」に参加してきた。会場は見沼の農業者トレーニングセンター
で講師はさくらそう会世話人の伊丹清さんだった。
半分以上はご自分のサクラソウとのかかわりやサクラソウの栽培や鑑賞の歴史的な話だった。
田島ケ原サクラソウ自生地にも触れていたが、現在はノウルシの勢力が強すぎ、サクラソウを黄色い花と誤解する人もいる
のではとの冗談まじりの話もあった。
確かに三好学博士の天然紀念物調査報告を見ると「其中モットモ固有ナルハ桜草ニシテ仲春ノ頃ニハ原頭一面紅花ヲモッテ
飾ラレコレト交ジリテ黄色ノ野漆、云々」と記されているので主客が逆転しているのは確かだ。
サクラソウの個体ではなく自生地として全体が特別天然記念物に指定されているのが問題を複雑にしているが、とにかく
一面黄色ではなく一面紅花に戻していく事は必要だ。
早く着いたので園芸植物園に行くとやはりお花が多いのだろう、モンキチョウが飛んできた。霜害に会わないように家の中
に入れた植木に付いていた蛹から羽化したルリタテハが家に居るので、余計親しみを感じた。越冬蝶ではないはずと調べてみると春に最も早く
羽化する蝶のひとつで、時に冬の暖かい日に羽化することもあるとあった。
白梅、紅梅が満開で、マンサクもたくさんの花をつけ、サンシュユは蕾を膨らませていた。そしてフクジュソウが林床に
鮮やかな黄金色の花を咲かせていた。
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葉のでる前に花をつけるマンサク |
ミズキ科のサンシュユの膨らみ始めた蕾 |
雨水(うすい):今年の雨水は旧暦の正月(春節)と重なったが、自生地では暖かかった。昔から農耕の準備を始める目安とされ
てきて、春一番が吹くのもこの頃。地方によってはこの日にひな人形を飾ると良縁に恵まれるという。