二十四節気の処暑に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
イチモンジセセリが飛び交う処暑の自生地
2015年8月23日(日)
自生地に着いてまもなく降り出してしまった。一時本格的な降りになったが幸いにも止んで、その後は時折パラついた程度だった。
夜になると格段の涼しさを感じた処暑だったが、台風15号が通過した石垣島では瞬間最大風速71mという統計を取り始めた1941年以来初の強風を観測したという。
シロバナサクラタデの花に吸蜜に来ていたイチモンジセセリ
イチモンジセセリは夏の終わりから秋にかけて一番多く見られる。幼虫の食草は各種イネ科植物なので稲の害虫とされ、イネツキムシの別称もある。
後翅に横長の白紋が一直線に4つ並ぶイチモンジセセリに対し、よく似たチャバネセセリは小さな白点が円形に並ぶ違いがあるので、見分けは
比較的簡単だ。
「8月下旬から9月中旬に羽化するイチモンジセセリの世代は集団で移動する現象が見られ、時に大集団になる」(日本のチョウ)
シソ科の多年草のシロネの株が増え、葉腋に多くの白い唇形花を付けている。花冠は約5oで、雄しべ2本は株によって花柱より長いものと、
花柱より短いものがある。茎は四角形で、地下茎が太く白いのが名の由来。
キクイモは北アメリカ原産の多年草で、幕末頃に渡来し、第二次大戦中は救荒植物として栽培された事もある。キク科ヒマワリ属で原語の属名の
Helianthusは太陽の花の意味で、陽を向いて咲く事と大きな明るい花を象徴している。塊茎はイヌリンを含むので果糖、アルコール発酵、飴の原料になる。
上掲の
コカモメヅルは今年はなり年のようで、
多くの個所で見られる。花は小さく朝だけ開くのと色が鮮やかなので貴重品のような気がする。
ミズタマソウは今年は少なかった上に、少し
時期が遅く、花を付けていたのは2株しかなかった。総状花序につく花は径3ミリと小さいので撮るのは何時も苦労する。
A区とC区の間の鴨川よりの観察路が一部通行止めになっている。2009年、10年にミツバチの巣が襲われた同じ所にスズメバチが盛んに出入りして
いる。今年もまた乗っ取りを図ったのだろうか。いずれにしても巣に近づくのは危険だ。
アカボシゴマダラに久し振りに出会った。在来のアカボシゴマダラは準絶滅危惧(NT)で開発などにより生息地が減少している。現在関東で
広がっているのは人為的に放蝶された中国原産のアカボシゴマダラで、在来種と交雑可能というので要注意だ。
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近くで鳴いていたミンミンゼミ |
アカボシゴマダラ |
午前中だけ開くツユクサ |
帰りかけた時に出会った人が「こんなに雑草が繁茂してサクラソウは大丈夫なんですか」と問いかけてきた。オギやヨシが暑さに弱い
サクラソウの根を守っている旨話をすると納得してくれたが、こうゆう事もキチンと周知する看板が必要だ。
処暑の自生地模様は
さいたま市市民活動サポートセンターの
田島ケ原サクラソウ自生地を守る会のホームページ
からもご覧いただけます。
処暑(しょしょ):今年ほど処暑が皮膚感覚で理解できた年も稀と思う。夜には格段の涼しさを感じ、格別に暑かった今年の夏が一段落した。台風
15号が石垣島から熊本に上陸し、16号が小笠原の南方海上を北上していた。 2015年8月28日作成