二十四節気の小雪に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

時折霧雨が舞う小雪の自生地はものみな静かでした

2015年11月23日(月)

今年の小雪は23日で勤労感謝の日と重なった。1948年に制定された勤労感謝の日の前身は、稲の収穫を祝い翌年の豊作を祈念する 宮中行事の新嘗祭だ。この宮中行事は,伊勢神宮や出雲大社でも行われるという。
今日は朝から雲が厚く垂れこめ雪国の空のようで、日中も気温が上がらず、時折小ぬか雨が降る寒い一日だった。でもまだコカモヅル の袋果は青々として痩果を旅立たせる気配は全く無かった。昨日のニュースでも11月の気温が高いので平地での黄葉がほとんど進まないとか、ゲレンデに 雪が無くスキー場のオープンが軒並み延期されているとの報道があった。
ナワシロイチゴ
オギの稈の間から覗くナワシロイチゴの緑の葉。円内は今年5月22日に撮影の花
カナムグラ
自生地ではオギが殆ど葉を落として茎(稈(かん))だけになり観察路から奥の方まで見通せるようになった。所によっては地面を緑の葉 で覆っている所がある。よく見るとナワシロイチゴでかなり繁殖力が強くアチコチで繁茂している。
でも、今まではこの時期にナワシロイチゴが葉を茂らせていた記憶は無い。これも11月の平均気温が高かった事による変異 なのだろか。
ナワシロイチゴはバラ科キイチゴ属のほふく性の落葉小低木。茎には刺があり、葉は3出複葉が普通。花は短く立ち上がる枝の先に 付き、萼は開いてもピンクの花弁は雄しべを包んだまま開かない。苗代の時期に赤い実を付けるが美味しくない。
左は径5oのレンズ形の痩果を苞の 中に宿したカナムグラの雌株。雌しべの柱頭には毛が多く、風に運ばれてくる花粉をひっかけて受粉する。

さしものカナムグラも少なくなり、 ユウガギクやノコンギクの花も見られず、すべて枯れ姿で、自生地の生き物は2〜3見られたジョロウグモの他は全く見られず、ものみな静かな佇まいだった。
オトギリソウ ヤブマメ
花のような萼の真ん中のオトギリソウの赤い果実 一つだけ残った豆果。ヤブマメでしょうか
ヨモギハシロケタマフシ ノブトウミフクレフシ
ヨモギの葉につく虫こぶのヨモギハシロケタマフシ ノブドウが肥大し色は色々のノブドウミフクレフシ

サザンカ
桜草公園では山茶花(サザンカ)が花盛りだった。野生のサザンカは白花だが日常目にするのはすべて栽培種で、ここもアカバナが主 だったが白花もあり一組だけコラボしていた。
トベラ
トベラの刮ハが3裂して赤い粘液に包まれた種子が見られた。

11月15日の今年最終の観察会は前日より降り続いた雨で自動的に中止状態だったが、念の為10時少し前に自生地に行ってみた。
なんと熱心な方が2名、後から聞くともう1名は早くみえて帰ってしまったようで残念だった。観察路は多少ぬかるみはあったものの 十分に歩け、多くのカタツムリに歓迎されたミニ観察会だった。
カタツムリ
キンミズヒキ萼筒
上はキンミズヒキの痩果を包む萼筒のアップ。縁に付いた刺で動物などについて運ばれる。
カタツムリは右巻きが主だが左巻き もあり(左)、上から見て中心から時計回りが右巻き。

小雪の自生地模様はさいたま市市民活動サポートセンター田島ケ原サクラソウ自生地を守る会のホームページ からもご覧いただけます。

小雪(しょうせつ):2015年の小雪は23日で勤労感謝の日と重なって連休の最終日だった。しかし空模様が怪しく桜草公園も閑散として 自生地では人っ子一人出会わず、生き物の気配は感じられなかった。ひとり元気だったのはナワシロイチゴで何となく気になった。 2015年11月25日作成