二十四節気の穀雨に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

自生地に暖かい陽射しが降り注ぎ初夏の趣でした

2016年4月20日(水)

さくらそう水門を望む
2016年の穀雨の4月20日は汗ばむ程の真夏の日射しが降り注ぎ、自生地には多くの人が訪れた。
でも残念なことにノウルシやノカラマツが大きくなってサクラソウを隠してしまっている。その上オギやスイバ が伸び出して見える所もスダレ越しだ。
自生地
テントを訪れる人たちは一様に半信半疑で「まだ早いんですか」とか「サクラソウは見られますか」などと問い かけてくる。どうしても「さくら草まつり」を花のピークと考え、その前後が見ごろとお思いになるようだ。
今年も見ごろは10日前後、15日くらいまでだった。特に9、10日の土日は桜もまだ十分に鑑賞できて訪れ た人は幸運だった。

さくら草まつり'16の17日は生憎の強風に雨がまじる悪天候で、折角のお祭りが台無しだった。
我々もお昼近くまで頑張ったが次第に風雨が強くなり、テントの前も閉めて雨風をしのぐ有様で、12時近くに 解散した。
でも後から聞くと午後には風雨もおさまり、薄日が射してお祭りの雰囲気が楽しめたようだ。天気の神様も少し 同情してくれたのだろう。
18日には新開(しびらき)小学校の4年生53人が課外授業で来園。子どもたちは好奇心が旺盛で、中央観察路の 入口のジャコウアゲハのさなぎには興味津々、歓声を上げていた。

ミツバツチグリ ノウルシ刮ハ
ミツバツチグリの花 ノウルシの刮ハ
サクラソウ
今年は記録的な早さで花開いてくれた白花サクラソウだが、株はほとんど増えず、去年はB区に復活した株は 今年はついに見られなかった。
ミツバツチグリも早くから群生が見られたが、見事に咲き揃った姿はついぞ見られなかった。
ノウルシは相変わらず自生地の主役のような存在だが、なるべく早い機会に三好学博士が述べた「 モットモ固有ナルハ桜草ニシテ仲春ノ頃ニハ原頭一面紅花ヲ以テ飾ラレ之ト交リテ黄色ノ野漆・・・」という昔のような サクラソウ主役の自生地にもどすべきだ。

今年の田島ケ原サクラソウ自生地を守る会を守る会の現地活動最終日の4月24日は朝一時止みかけた雨が自生地 に着いた頃に本降りとなった。
昨夜からの雨だったので、テントの正面を巻き上げる時には雨滴がすごく、体も濡れるくらいだった。
テントは開けたものの本降りの雨は水溜りに輪を描きかけてはすぐに消される繰り返しで一人の心細さと寒さが ないまぜになって襲ってきた。
雨の自生地
テントから本格的な雨になった自生地を望む 2016年4月24日AM09時12分
レンリソウの蕾 チョウジソウ ノウルシ刮ハ
まだ花は見られないレンリソウ 23日頃から開花したチョウジソウ 第二自生地の白花サクラソウ
予報通り昼近くに雨は止んで午後からは薄日もさす好天になった。
今年も北海道をはじめ各地から色々なグループが来園してくれたが、今後とも特別天然記念物として名実ともに 誇れる自生地でありたいと思う。

穀雨(こくう):二十四節気の第6節、「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りることもなくなる 」という言葉もあるという。 2016年6月12日作成