二十四節気の秋分に見る田島ヶ原サクラソウ自生地
フジバカマが咲き、北本はワタラセツリフネソウが花盛り
2017年9月23日(土)
22日に訪れた自生地はバス停付近から俯瞰するとA区の真ん中あたり一面にオギの穂波が見られるようになった。
翌23日の秋分の日は雨の予報だったが、未明には止んで、北本自然観察公園での出張講座は予定通り観察会も実施できた。
左はB区の公園寄りで花を開き始め、芳香を漂わせているフジバカマ。
上はA区の白いオギの穂波
駐車場に下りるとA区ではツルフジバカマがまだ盛りとばかりに紅紫色の花を咲かせていた。
観察路に入ると観察しやすいように柵の内側の倒れ込みやすいオギなどが間引いてあった。両側にはユウガギクの白い花が増え、ツユクサ
のコバルトブルーも多く見られた。
今年はヒガンバナが1週間くらい早かったようで、土手のヒガンバナは半分くらいが終わっていた。でも自生地の鴨川べりではまだまだ
見られた。
ヤブツルアズキは長い豆果をつけているものもあり、黄色いカタツムリのような花を自生地全域で咲かせていた。現在の主役だ。ヤブマメ
が見られるようになり、キンミズヒキも全域で見られる。
あれほど隆盛を誇ったセンニンソウの白い花は全く見られない。コバギボウシも刮ハばかりになった。ツルマメの小さな花もすっかり豆果
に置き換わっていた。アチコチで大きく伸び出しているアキノノゲシは8時を過ぎないと花開かない朝寝坊で、自生地では花を見られなかった。
23日は予報では雨だったが未明には止んで、北本自然観察公園での午後の観察会も有益だった。
ツリフネソウが最盛期で昼休みに歩き回った時には赤い群落がビックリするほど多く見られた。午後の観察会でここのツリフネソウは全
てワタラセツリフネソウで2009年に新種登録され、埼玉カテゴリーでは絶滅危惧TB類(EN)と教えられた。
生育地は河原などの低湿地で、特徴は小花弁が短く先端が黒く縮れる事といい、低地の個体は見直しの要ありのようだ。
上はオスのギンヤンマ。頭から尾までは7p、翅の長さは約5pの大型のトンボ。頭部と胸部が黄緑色で腹部は黄褐色、
胸部と腹部の間の色がオスは水色でメスは黄緑色。
左はメナモミ。メナモミ属は総苞片と花床の鱗片に腺毛が密生して粘る。メナモミは茎の上部に白い
開出毛が密生する。葉は翼のある長い柄があり対生し、大きな葉の裏面の脈上に白い毛が密生する。黄色い頭花が散房状に集まって付き、頭花は約2pで周囲
に先が3裂した舌状花が付く。総苞片は長くて開出し、腺毛が密生する。
サクラソウ自生地には
コメナモミが生育
するが、メナモミに比べて全体に小さくほっそりしている。茎や葉に短い伏毛が生えるが開出毛は無い。
北本自然観察公園の学習センターの入口の横にヌスビトハギが花を咲かせていた。どうせアレチヌスビトハギだろうと節果を見ると2個
づつしかついていない。しかもくびれは深い。ヌスビトハギだと感激した。さすが外来種は生育していなかった。
この頃はよほど自然の中に行かないとヌスビトハギはない。一週間後の最後の講義で環境科学国際センターに行って池の周囲に生えてい
たのはアレチヌスビトハギだった。花は大きな旗弁が目立ってきれいだが、1940年に大阪府で発見された北アメリカ原産の外来種は今では日本全国に帰化して
在来のヌスビトハギを駆逐しているようだ。
節果の表面に密生した鉤状の毛で動物などにくっついて運ばれるのは両者に共通だ。
|
|
ヌスビトハギは短い柄に2つの小節果がつく |
アレチヌスビトハギの節果はくびれが浅い |
|
|
キツリフネは変異なし。果実は熟すと種子を飛ばす |
リンドウ科のアサザは朝に開き昼には閉じる1日花 |
秋分(しゅうぶん):23日は彩の国環境大学の第4回目の講義が北本自然観察公園の学習センターで行われるので、久し振りだし是非出席し
たかった。自生地の観察と青葉園の墓参りは前日の22日に済ませておいたが、両日とも雨にはたたられず正解だった。 2017年10月3日作成