二十四節気の寒露に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

ユウガギクに一番多かったのはキゴシハナアブでした

2017年10月8日(日)

3〜4日前から急に気温が下がり、慌てて冬物を出す騒ぎだったが、今日2017年10月8日の寒露は朝から暖かく日中の日差しは夏の暑さだ った。
日曜日とあって昼頃には駐車場は満車状態で、若い家族連れがボール遊びや駆けっこなど楽しい声を上げて秋の日和を楽しんでいた。
アキノノゲシ
観察路を彩るユウガギク
自生地は3分の2がオギの穂波に覆われ秋本番を思わされた。観察路の両側はユウガギクの白い花がかなりの部分を占めるようになった。
アキノノゲシ属は果実が扁平で先が細くくちばし状になるのが特徴で、頭花の小花はすべて舌状花。レタスやサラダもこの属(野に咲く花)
昆虫たちがせわしなく訪れているのでカメラを向けたが、一番来ていたキゴシハナアブがなかなか同定できず、ツマグロキンバエは日本 昆虫協会の質問箱で教えて頂いた。
キゴシハナアブ(黄腰花虻)は腹部が黄色く、花によく来るのが名の由来という。体長は9〜12ミリで胸部には明瞭な縦じま模様があり、 複眼には粉を散らしたような模様がある。
キゴシハナアブ キゴシハナアブ キゴシハナアブ
胸に縦じま模様 黄腰の名の由来の黄色い帯 複眼が粉を散らしたよう
ツマグロキンバエ(褄黒金蝿)は体長5〜7ミリ、深緑色で、背中に丸みがあり、翅の先端が黒くなったハエ。複眼は 青緑色に輝き筋模様がある。口器は長く突き出る。草原の花でよく見られる。(昆虫エクスプローラ)
ツマグロキンバエ ツマグロキンバエ ツマグロキンバエ
深緑色で背中に丸みがある 翅の先が黒っぽいのが名の由来 複眼に縞模様があり口器が長い
シロバナサクラタデを撮った時には全く気付かなかったのが、パソコンに移すと多くの花に小さな金色の虫が来ていた。名前を調べる のに苦労したが、ポケット図鑑のハムシの所にたまたま見つけた。ムナグロツヤハムシ(胸黒艶葉虫)で体長は4.5〜5.8ミリ、背面が黄褐色 から黒色まで個体差があり、前胸背の前角が角ばるのが特徴という。そして葉虫とはハムシ科の昆虫の総称で、一般的に使われる羽虫は小さな羽のある虫全般 を指すということも今回初めて知った。
オオハナアブ(大花虻)は腹部の黄色い帯が特徴的ですぐに同定できた。体長は11〜16ミリで黒色に帯が目立つ。 頭部が大きく半球形なのが特徴。幼虫は水中で育ち、成虫も湿地に咲く花でよく見られるという。
ムナグロツヤハムシ オオハナアブ
シロバナサクラタデに来ていたムナグロツヤハムシ オオハナアブは黒くてずんぐりしている
キタテハが正面下から見えて面白いアングルになった。どんな顔をしているのかシャッターを押してみた。
ユウガギクの上に何か居る。目を凝らすと枯葉色のカマキリだった。緑色ではないのでコカマキリだろうかと思った。でもハサミの脚の 内側に黒白の模様は無いようだ。オオカマキリ、チョウセンカマキリでも枯葉色や褐色はあると思いなおし、両種の見分け方を調べてみた。
チョウセンカマキリ
キタテハ
鎌足の付け根の色が橙赤色(写真右上円内)はチョウセンカマキリ。オオカマキリは黄色といい、単にカマキリとも呼ばれるチョウセン カマキリだった。

下の写真は二ホンミツバチかと思ったが、大きいのでツチバチ科のヒメハラナガツチバチではないかと思う。
ヒメハラナガツチバチ
イチモンジセセリは4つの白点が一列につくが、写真は4〜5個が半円形に付くオオチャバナセセリだ。
オオチャバナセセリ
この日は2匹のカニグモ科のハナグモに出会ったが、ラッキーなことにオスとメスだった。オスの大きさは3〜5ミリ、メスは5〜7ミリで ジョロウグモのような差はない。
オスは脚が長く、頭胸部や脚は赤褐色、腹部は緑色で黒い斑紋が入る。メスは頭胸部が薄緑色で腹部は黄色味を帯び、茶色の斑紋が入る が模様の変異は激しく無紋のものや人面模様もある。
ハナグモの♂ ハナグモの♀
ハナグモのオス ハナグモのメス
ユウガギクは全域で7分咲き、 フジバカマも花のピーク、 アキノノゲシは花と丸い冠毛が半々、 コメナモミが見られるようになった。 ヤブツルアズキは長い豆果の季節に入り、ナンバンギセルはまだ見られる。
第二自生地はタイアザミが花盛りでノコンギク も咲き始めていた。

寒露(かんろ):夏のような日差しが降り注ぎ、桜草公園では若い家族の溌剌とした声が響いていた。昆虫達も暖かさに誘われ観察路を彩る ユウガギクの白い花に来ていた。カメラを向けたのはいいが同定するのに苦労だった。でもいい勉強になった。  2017年10月22日作成