二十四節気の穀雨に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

自生地ではチョウジソウ、補完地ではサクラソウが見事

2018年4月20日(金)

2018年4月20日の穀雨は全国的な晴天で最高気温が26℃の6月下旬並みの暖かさだった。
「サクラソウはまだですか」「サクラソウはどこで見られますか」暖かい春の陽気に誘われて田島ケ原サクラソウ自生地を訪れた人たちの 最初に発する言葉のほとんどがこのいずれかだ。
3月後半からの暖かさでオギが異常に伸びてサクラソウを覆い隠している。やっとノウルシの勢いが止まったと思ったらスイバよりはるかに 多いオギが邪魔している。自生地の宿命と言っても、折角いらして頂く方たちには本当に申し訳ない。
でも、いつもならやっと一輪開くか開かないかの チョウジソウが花盛りだ。
競うように開いているチョウジソウ
異常な暖かさで花開いているキョウチクトウ科のチョウジソウ
ノウルシの黄葉
15日のさくら草まつりは朝には雨も止んで穏やかな祭り日和だったが、小学生のコンサートは前日に中止されたようで少し寂しかった。
でも私は清水市長に久しぶりにお会いして、サクラソウ自生地も案内できてよかった。

16日には授業の一環で毎年来てくれる新開小学校の4年生72名が訪れた。
子供の感性の鋭さだろうか。目ざとくノウルシの黄葉した葉を見つけて質問してきた。
いつもは6月下旬ころには地上部を枯らしてしまうノウルシがもう枯れ始めていたのだ。言われて初めて気付いた現象で自分も勉強させら れた。

17日、18日は急に気温が低くなったが、育ってしまった植物たちは小さくなる筈も無かった。

19日には朝から補完地に行ってみた。
自生地に比べてヨシが圧倒的に多い。こっちのサクラソウはヨシの間に見られる。補完地は自生地よりはるかに湿地なのだろう。植物たち も生き生きしている。
サクラソウとヒキノカサ
花は小さいながらメタリックな輝きが印象的なヒキノカサが群生し、足もとには希少種のエキサイゼリが白い小さな花を付けていた。
エキサイゼリ
サクラソウはそれこそ盛り上がるように競って咲いていた。写している時はほとんど気づかなかったが、パソコンに落としてみると花びら の多いものが結構多く、6枚は普通に見られ、7枚、8枚少ないものは4枚も見られた。
8裂片のサクラソウ 7裂片のサクラソウ
8裂片のサクラソウ 7裂片のサクラソウ
レンリソウ アリアケスミレ コゲラ
22日に見つけたレンリソウ 側弁に毛のあるアリアケスミレ 子育てしているのか不明のコゲラ
サクラソウ サクラソウ サクラソウ
サクラソウと刮ハ サクラソウ4裂 サクラソウと刮ハ

19日に補完地でサクラソウの花を次々と飛び回っている蜂を見つけた。トラマルハナバチかと思いカメラを向けたが残念ながら逃げられて しまった。でも、サクラソウだけを吸蜜して回っていたのは確かで、嬉しい光景だった。

4月14日東京新聞朝刊の県央版のトップ記事で荒木先生が特集されている。参考までに添付しておく。

荒木先生記事

穀雨(こくう):穀雨とは農作物にとって生長を促す恵みの雨で、この頃の雨を百穀春雨ともいう。今年の自生地を見ていても3月下旬の多雨 が多くの湿生植物の生育を促していた。自生地も補完地くらいの湿地でありたいと切実に思う。 2018年5月2日作成