二十四節気の芒種に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

ノカラマツとオカトラノオ属の対照的な花の季節です

2018年6月6日(水)

関東甲信地方は今日6月6日の芒種に梅雨入りし、平年より2日早かった。
夕方から降り始めるとの予報だったので早朝に行くつもりが雨で、10時頃に行ったが自生地ではほとんど降られなかった。
ノジトラノオもどき
ノカラマツの花
上はキンポウゲ科のノカラマツの花。花弁は無く、萼も早落性なので花は雄しべの細い花糸と黄色い葯が目立ち、円錐状の花序は黄色く見 える。絶滅危惧U類(VU)
左はノジトラノオ絶滅危惧U類(VU)に限りなく近い雑種のオカトラノオ属。まだ咲き始めのようで花穂の先の方は蕾が多いが裂片 は細くノジトラノオに似る。
ノカラマツ
オカトラノオの花 オカトラノオの花
裂片が細くノジトラノオの花に似る 裂片が広くヌマトラノオの花に似る
オカトラノオ属がアチコチで白い花穂を付けていた。これからが本格的なシーズンになるが、交雑種を作りやすく色々な形の花穂を咲かせ ていた。
オカトラノオ属はAPG植物分類体系第1版、第2版ではヤブコウジ科に含める事も提案されていたが、第3版でサクラソウ科に確定したという。 約160種が世界に分布し、アジアの温帯に多く、日本には16種が知られている。
しかしながらこの花がサクラソウ科というのは誰しも不思議に思う。でも小さな花のつくりを見れば納得せざるを得ない。花は下部が筒状 の合弁花で、裂片は5枚が普通だが、6枚も見られる。雄しべは裂片に対応しているのはいずれもサクラソウの特徴だ。
あれほど隆盛を誇ったノウルシはもう見られない。これからの主役はオギとノカラマツだ。
ノカラマツは地中を横に這う細長い黄色の 走出枝があり、これで繁殖する。茎は直立して上部で分枝し緑色で稜がある。茎質は硬く、葉と同様毛は無い。

シオデが牛のシッポに似る蔓先をアチコチで観察路に伸ばしていた。別名ヤマアスバラと言われる美味の山菜だが、アスパラに似た直立し た蔓先は見られなかった。。
シオデ
シオデの雌花 シオデの雄花
シオデの雌花 シオデの雄花
シオデはAPG分類ではサルトリイバラ科または 独立のシオデ科に分類される。野原や山林の縁に生える多年草のつる草。
花被片は6枚で長さ約4o、幅は狭くて水平に開く。雌花の子房は3室で短い3本の花柱がある。雄花には花糸の長い雄しべが6本立つ。

ザクロ
今の時期には珍しく観察に見えていたご婦人がすぐそこの黄色い花は何の花ですか?と尋ねてきた。見るとトモエソウが一輪だけ開いていた。
トモエソウ
北観察路の公園側入り口付近の小低木が朱赤色の鮮やか花をたくさん開いていた。
いつもザクロだろうと思いつつ僕の頭の中ではシドミかもしれない。とも思う。
調べてみるとシドミとはクサボケの別名とあった。バラ科の小低木で高さは0.3〜1m、茎の下部は地に伏し地下茎を引く。4〜5月頃葉より 早く、朱赤色で径約2.5pの花が2〜4個束生する。果実は約3pの球形で黄色く熟す。とあった。
ザクロは高さ5〜6mになり、よく分枝する。葉は2〜5pの長楕円形で全縁。6月頃直径5pの朱赤色の花を開く。果実は球形で先端に萼が残 る。とあった。
シドミがハッキリ分かって、正解がザクロと決定しスッキリした。

芒種(ぼうしゅ):小満の次が大満ではなく何故芒種なのかとも思ったが、芒のある穀物の種まきする季節でこれから新たなる収穫を目指す 出発の季節で、大満を目指す季節とも言えそうだ。 2018年6月20日作成