二十四節気の処暑に見る田島ヶ原サクラソウ自生地

コバギボウシが全域で見られるようになりました

2018年8月23日(木)

処暑は台風の特異日とも言われる。今年は台風19号が九州の西方海上を抜けたと思う間もなく、20号が四国に上陸し近畿 地方を縦断していった。
さいたま市は朝から明るく晴れ渡り自生地に着いた6時頃には無風状態で静寂が支配していた。
コバギボウシ
シロバナサクラタデ
中央観察路を入ると朝露に濡れた植物達が爽やかに迎えてくれたが、ナメクジが多く目についた。カタツムリと同じ陸棲貝類だがとても可愛い とは言えない。
コバギボウシの花が全域でみられるようになっ たが、開いた花は下向きが多く、ほとんどが観察路に背を向けているのは不思議なくらいだ。
シロバナサクラタデも花が増えて華や かになった。

この日は鳥の鳴き声はほとんど聞こえず、チョウもあまり見かけなかった。木の幹など日陰に多いヒメウラナミジャノメは鴨川沿いの雑木の辺 りで、サトキマダラヒカゲはクヌギの樹間を飛びまわっていた。
サトキマダラヒカゲ ヒメウラナミジャノメ キタテハ
サトキマダラヒカゲ ヒメウラナミジャノメ キタテハ
サトキマダラヒカゲ(里黄斑日陰)は中型の日本固有種。全然羽を開かないのが特徴。
ヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇の目)は小型の蝶。表は 濃褐色で、前翅に一つ、後翅に2つ程度の眼状紋がある。
キタテハ(黄立羽)は中型で食草はカナムグラ。近似種のシータテハは北海道〜中部地方で比較的見られるのみ。

キクイモ
キクイモの花が2輪見られた。北アメリカ 原産の多年草でイヌキクイモとよく似ているが、塊茎が里芋のような形で大きい。地上部で区別するのは難しいという。
キクイモの筒状花の左上に獲物を待ち伏せている緑色のハナグモが見えます。
センニンソウ
センニンソウの花も見られるようになった。 観察路の両側にたくさんの蕾を付けているので、次回9月8日の白露が楽しみだ。キンポウゲ科のつる植物で曲がりくねった葉柄で他物に絡みつくのが特徴。 半低木(野に咲く花)ともつる性の多年生草本(牧野)とも言う。

メハジキが大きく丈を伸ばし葉腋に小さな精巧な花をいっぱいに付け、キンミズヒキも花が多くなり、ヘクソカズラは精力的だ。アゼオ トギリ、ミズタマソウ、観察路ではユウガギクが見られ、オカトラノオ属も独特の花序を見せている。
アチコチでツユクサが見られたが上下に2連になっているのは見当たらなかった。代わりに今迄自生地では無かったと思ったシロバナツユ クサが見られた。
ヤブガラシの花盤でブチヒゲカメムシが交尾していた。観察していると逃げ始めたが何があっても離れるものかと番ったまま花盤の下に 逃げ込んでしまった。
シロバナツユクサ ヤブガラシの花とブチヒゲカメムシ
シロバナツユクサ ヤブガラシの花の上で交尾するブチヒゲカメムシ

ブチヒゲカメムシ(斑髭亀虫) 触角が黄色と黒色の2色の斑(ぶち)なのが名前の由来(身近な植物図鑑)。体長10〜14o。黄褐色 〜赤褐色で、背面中央部に白紋を持つカメムシ。体側に縞模様がある。マメ科、キク科の植物に付く。(昆虫エクスプローラ)
台風20号の影響で夜はかなり強い南風が吹いていた。外に出て深呼吸をしていたらそれに合わせたように月が顔を出し終わった途端に 隠れてしまった。

処暑(しょしょ):今年は残暑見舞いとして文化財保護課を教育委員会から地方公共団体の長の下に移せる法改正があった事をはがきを90通、 メールを19通送付。いつもは連絡しない会員を含めて20通の封書には処暑の自生地模様も同封。2018年9月3日作成